相続税の税制改正案
改正点その1。基礎控除額の引き下げ
今回の相続税制改正で、最も大きなポイントとなるのは基礎控除額の引き下げです。これまで5000万円+(1000万円×法定相続人の数)だった基礎控除額が、3000万円+(600万円×法定相続人の数)となり4割も減じられています。この結果、課税対象者が増加し、特に地価の高い都心部では課税対象者が大幅に増加すると見込まれています。
改正点その2。税率構造の変更
相続税制改正に伴い、税率にも変化があります。下図即算表の通り、1億超の税率が細分化し、2億超の課税対象額に45%、6億超の課税対象額に55%の税率がかかることになりました。つまり、財産がかなり多い人ほど影響の大きくなります。一方で、1億以下の税率に変更点はありませんが、基礎控除額が減ったことによって、課税対象額がより高い税率がかかる額に引き上げられる可能性があります。
改正点その3。未成年者控除、障害者控除の緩和
相続税の増税に対する緩和措置として、未成年者控除・障害者控除の額が拡大されます。未成年者控除は現行、20歳になるまでの1年につき6万円でしたが、改正後は1年につき10万円に、障害者控除は現行、85歳になるまでの1年につき6万円でしたが、
改正後は85歳になるまでの1年につき10万円になります(※1)。
(※1)特別障害者(1・2級障害者)の場合には、1年につき12万円から改正後20万円になります。
改正点その4。小規模宅地の特例の拡充
小規模宅地の特例とは、亡くなった方が自身の居住用や事業用に使っていた土地に関して、一定の面積内で相続時の評価を最大80%減じるというものです(※2)。これまで居住用については限度面積が240平米でしたが、これが改正後は330平米まで拡大されます。貸付事業以外の事業用に関しては400平米の限度面積から変更はありませんが、居住用と事業用どちらも適用が可能になり、最大で730平米が減額の対象となります。
(※2)居住用の場合は、配偶者か同居していた家族(同居者がいない場合は、別居している家族でも可能な場合があります)、事業用の場合は、事業を継承した人がその土地を相続する必要があります。
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