遺産相続・財産相続に関する銀行・不動産の手続き
土地・建物など不動産の登記の手続き
不動産を受け取るとなった場合には、所有権移転の登記(相続登記)が必要になります。登記手続きは、その不動産の地域を管轄する地方法務局(登記所)で行う必要があります。移転手続きを行う不動産が遠方の場合は、司法書士などに依頼することも可能です。登記の申請に当たって必要な書類は、1.登記申請書、2.亡くなった被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本、3.相続人の戸籍謄本・住民票、4.印鑑証明書付きの遺産分割協議書、5.固定資産税評価証明書が必要です。このうち、登記申請書は自分で作成する必要があります(2部作成し、1部を提出、残りの1部は申請人還付用となります)。
また、登記をするには登録免許税がかかります。税額は相続による移転登記の場合は、不動産の固定資産税評価額の4/1000、相続人以外のものへの遺贈の場合は20/1000がかかります。必要な金額の収入印紙を台紙に貼り、1~5の書類と共に申請書に添付して提出します。登記審査には複数日かかりますので、指定の日に再び地方法務局に出向いて結果を確認して、特に問題が無ければ完了となります。完了すると、「登記識別情報通知書」が交付されますので、こちらを大切に保存してください。
登記は義務ではありませんが、登記簿上の所有者でなければ、その不動産を売却したり、担保とすることもできません。放置したまま次の相続が発生してしまった場合、代襲相続人が増え、全員の同意を得ることも難しくなります。また、遺産分割協議が成立していない場合でも相続登記は可能ですので、悪意を持った第三者などに名義を書き換えられるなどのトラブルも実際に発生していますので、そうならないためにもまず相続登記を行いましょう。
銀行の預貯金の名義変更・解約手続き
被相続人が亡くなると、一部の相続人が勝手に預金を引き出したりすることを防止するために、銀行などの金融機関は預貯金の口座を凍結します。遺産分割協議が成立し、必要書類が揃うまでは預金を引き出すことができませんので注意しましょう。
1.遺産分割協議による分割の場合に必要な書類
・各金融機関の払い戻し請求書
・被相続人の預金通帳、届出印
・亡くなった被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本、住民票
・相続人全員の承諾書、印鑑証明書
・相続人全員の実印が押印された遺産分割協議書
(金融機関によって必要書類が異なる場合もありますので、まず確認を行ってください。)
2.遺言に基づく相続の場合に必要な書類
・遺言書
・被相続人の除籍謄本
・受贈者
・被相続人の預金通帳と届出印
3.調停、審判に基づく分割の場合
・家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本
・相続人の戸籍謄本と印鑑証明書
・被相続人の預金通帳と届出印
貸金庫なども被相続人が亡くなった時点で凍結されます。両親の財産が自宅に探しても無い場合は、取引をしていた金融機関に確認をすることで見つかる場合もありますので、手続きが可能になってから、確認後再度申請を行ってください。
株式の名義書き換え
株式を相続した方は被相続人に代わって株主となります。配当の支払いや、株主優待を受けたり、株主総会に参加するためには名義の書き換えを行う必要があります。必要書類は、前項で触れた金融機関の名義変更の書類に準じます。
1.証券会社への手続き
証券会社を通じて取引されている株式の場合には、被相続人の取引口座から、相続人の取引口座に株式などの有価証券の移管手続きが必要になります。この手続きには名義書換手数料がかかります。
2.信託銀行などの株式名簿管理人の場合
株式発行元の会社が指定している株主名簿管理人で手続きを行います。所定の株式名義書換申請書に株券、被相続人の戸籍謄本などを添えて提出します。こちらは名義書換手数料はかかりません。
その他の主な名義変更手続きについて
不動産、銀行の預貯金、株式以外にも名義変更を行う必要があるものは多く存在します。以下にいくつかをご紹介いたしますので、該当する場合は手続きを行うようにしてください。
・自動車(移転登録、新所有者の申請)
・電話加入権
・NHK
・クレジットカード(機能停止の電話連絡が必要)
・ゴルフ会員権の名義書換
・生命保険、損害保険契約の名義変更請求
・借地権、借家権(地主に権利を継承したことを連絡し、契約書の名義変更を行う)
・電気、ガス、水道の名義書き換え
上記には書き換えと記入していますが、家を売却する場合には移転ではなく解約の手続きとなります。また、自動車も売却する場合は所有者の申請は不要です。相続を行う際に、解約なのか、書き換えなのかも相続人同士で確認をしておくことがスムーズでしょう。
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