遺産相続における相続税の節税・税金対策

相続への対策は、先のことだからと準備が後手に回りがちです。しかし「次世代のことを考え、節税を心がけたい」「遺産分割で『争族』になるのを避けたい」などと思うのであれば、健康なうちから少しでも早く対策を行うべきです。
というのも、相続税は原則現金で一括納付することになっているからです(延納や物納が認められる場合もあります)。そのため土地など現金以外の財産が大半を占める場合は、納税予算を用意できず税金を支払えないということも起こりかねません。
さらに平成27年(2015年)より相続税制が改正され、基礎控除額の減額など増税が行われます。これにより今まで相続税とは縁がなかった人に、納税義務が発生する可能性も十分あるのです。手遅れになる前に節税・税金対策として出来ることがないか、以下で確認していきましょう。

節税・税金対策を行う前に必要なこと

節税・税金対策を行う前にまず必要なのは、現状の把握です。財産がどの程度あり、いくら相続税を支払う可能性があるのかを算出し、いつでも確認できるよう一覧にまとめておきましょう。その際は、新たに財産が確認できた場合や、税法の改正により計算が変わってくる場合などにすぐ対応するため、情報を更新しやすくしておくのが望ましいです。
その上で相続財産をどのように分割するか、相続人同士で予め話し合っておくことも大切です。分割に関して合意がないと、税務署への申告をする段階にすら持ち込めず、対策どころの話ではありません。

節税・税金対策その1。生前贈与を活用する

節税・税金対策をする上で最も重要なのは、相続税の対象となる財産を減らすことにあります。といっても、遊興費などに散在をしてしまうのではなく、様々な制度を活用し財産を圧縮していくことで節税へとつなげるのです。
そこでまず最初に考えるべきなのは生前贈与です。
贈与税は相続税よりも税率が高く設定されていますから、大金を一度に動かしてしまうとかえって支払う税金が増えてしますが、暦年贈与の場合だと年間110万円までの基礎控除額が設けられているのでこれを利用するのです。毎年110万円ずつ贈与していけば10年間で1100万、複数の相続人に対して行えばさらに大きな額を無税で移転することも出来ます。
ただし、相続開始3年以内の贈与は相続財産として相続税の対象になることには注意してください。そのため、生前贈与は被相続人が健康なうちから計画的に行うことが重要となってきます。

節税・税金対策その2。各種控除の活用

被相続人の配偶者が遺産を相続する際は、法定相続分相当額または1億6,000万円のどちらか大きい額までは相続税がかかりません(ただし、隠されていた財産は対象外)。これは配偶者が被相続人の財産形成に果たす役割が大きいことや、老後の生活を保障する必要を考慮して設けられているものです。
なおこの制度は、法定相続分相当額が控除額にかかわってくるため、申告期限までに相続分を決め申告書を出さなければ控除適用の対象になりません。
他にも小規模宅地等の特例の活用が有効です。土地は相続税の課税対象財産の中でもかなりの割合を占めますが、この特例を活用すれば、被相続人が居住していた自宅や仕事用に使っていた土地について、一定の面積まで50%か80%の評価減を受けることが出来ます。
なおこちらの場合も、特例を受けようとする旨を記載した上で相続税の申告書を提出しなければなりません。その際には、あわせて小規模宅地等に係る計算の明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付する必要もあるので気をつけてください。

節税・税金対策その3。現金を不動産に換える

不動産の評価額は、実勢価格よりも低い路線価や固定資産税評価額によって算出されるため、同額の現金を所有するよりも相続税を節約出来る可能性があります。
特に賃貸不動産は、借地権や借家権が発生することからさらに評価額を落とすことができます。また先述の小規模宅地等の特例も適用が可能(200平米まで50%評価額減)なため、あわせて活用すればさらなる節税効果を得られるでしょう。
ただし気をつけなければいけないのは、不動産は常に値下がりするリスクをはらんでいるということです。賃貸不動産の場合は空室の増加で収入が減ってしまい、維持をするために支出が増えて生活を圧迫する可能性もあります。
また、現金とは違い遺産分割がしにくく、相続問題の火種にもなりかねません。あくまで資金に余裕があり、確実な運用が長期的に可能な場合において効果があるものと理解しましょう。

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