贈与税の税制改正案

高齢化社会が進む日本で、現在個人金融資産の60%超を60歳以上の高齢者層が保有しているといわれています。高齢者が保有する財産をその子孫に分配し、経済を活性化させようという目的で、贈与税の税制改革案が提出されました。実際の施行は平成27年からとなりますが、今から知識として蓄えておきましょう。

基礎控除後の課税額の見直し

贈与税には110万円という基礎控除額があります。その金額以内であれば、血縁関係でなくとも贈与税を支払う必要はありません。110万円を超えた場合は、超過金額に応じて課税額が決められています。その課税額がこの度の贈与税の改正案で若干仕組みが変わりました。変更内容としては、現行では、血縁関係無く、同一金額であれば同一の贈与税がかかっていましたが、直系尊属とそれ以外からの贈与で課税金額に差が出るようになりました。20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合おの方が税率が軽く定められています。また、贈与額が大きくなればなるほど課税が重くなり、少ない金額であれば今までより課税が軽くなりました。簡単な表をつけますので、<図1>をご確認ください。

相続時精算課税の適用対象者の拡大

相続時精算課税は、親がまとまった金額を子供に好きなときに贈与できる制度です。2500万円以内であれば、複数年にわたったとしても贈与税はかかりません。ただし、条件として贈与をする親が65歳以上であること、贈与される側は20歳以上の子供であること。この制度が、平成27年1月1日から、親子間だけでなく、孫にまで渡すことができるようになります。

内容の変更点としては、65歳だった年齢制限が60歳に、また贈与側が父母だけでなく、祖父母からも良いことになります。また贈与を受け取る側は、20歳以上の子・孫と範囲が拡大します。これは、より贈与をする対象を広げることで、高齢者のたんすに眠っているお金を市場に回すという意味が考えられます。

実際に、孫に贈与範囲が広がることで、子供の財産を増やさずに済むようになります。それは、子供が老いて孫が相続人となった場合の相続税を節約することにもつながりますので、先を見越してこの制度を利用するのも一手かもしれません。

教育資金の一括贈与に係る非課税措置の創設

この改正は平成25年4月1日~平成27年12月31日までに贈与されたものに限る、期間限定の制度になります。もともと教育費や生活費は、必要に応じてその都度贈与する分に対しては非課税でしたが、贈与する側、受ける側両方に計画が立てにくいという面がありました。今回の改正案では子・孫一人につき1500万円までであれば控え時になるため、相続税対策として計画的に実行することが出来るようになります。ただし、ピアノやそろばんなどの学校以外への費用は500万円までと定められています。この条件としては、父母・祖父母から30歳未満の子・孫への贈与であること。信託銀行などに預け入れること。平成25年4月1日~平成27年12月31日までに拠出されたものであることの3点です。期間限定ではありますが、若い世代の人材育成へ期待されています。

申告方法としては、教育資金の支払へと充当したことを証明する書類を金融機関に提出しなければならないという条件はありますが、事前に贈与できることで教育資金準備の計画が立てやすくなります。

また、贈与を受け取った子・孫が30歳になった時点で金融機関に残額があるときは、残額に対して贈与があったものとして贈与税が課されますのでご注意ください。

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