社会保障・税一体改革大綱の消費税と相続税に関する改正について

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公開日時
2012/04/04 11:04

先月の2月17日に社会保障・税一体改革大綱について、閣議決定されました。大綱をザッと目を通しましたが、やはり目玉と言われた消費税の増税については、平成26年4月1日以降8%(消費税6.3%+地方消費税1.7%)に引き上げられ、平成27年10月1日以降は10%(消費税7.8%+地方消費税2.2%)に段階的に引き上げられる可能性が高まりました。この消費税率の引き上げに際して、「経済状況の好転」を条件とする旨が記載されておりますが、具体的には名目・実質成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、引き上げの停止を含め所要の措置を講ずるものとする規定を法案に織り込むとされています。ただし、具体的な数値等については、記載されていないというのが、ネックとなります。これでは、どのくらいの数値が経済状況の好転と言えるのかは不明です。

その他の点では、「工事の請負等において、請負工事等に係る所要の経過措置を設ける」とされているので、近く提出される法案の範囲や内容は、法案が明らかにならないと判明しないが、前回の改正時の3%から5%に変更された時の経過措置がどの様なものだったかを考えてみましょう。平成9年4月1日からの税率引き上げにあたっては、平成8年10月1日(「指定日」)の前日までの間に締結した「工事・製造の請負」に係る契約に基づいて、平成9年4月1日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合には、改正前の3%税率を適用するとした規定が附則に設けられました。なお、この経過措置は、請負工事の他、資産の貸付けや役務の提供、予約販売に係る書籍、特定新聞等、通信販売、割賦販売及び延払い条件付販売等についても設けられました。旅客運賃、映画・演劇等の入場料金、電気やガス、電話等の料金などについても規定されました。この様に平成9年4月1日から実施された税率の引き上げ時には、6か月前の平成8年10月1日が「指定日」とされ、請負工事や資産の貸付け等に係る経過措置のポイントとなりました。この部分について、恐らく同じような措置が今回の改正時にも導入されるかと思います。

さて、話は変わって相続に関する改正についてですが、以前の私のブログでも記載させて頂いた平成23年税制改正大綱に記載されていた内容がそのまま大綱に記載されています。詳細の一部を簡単に記載すると以下の通りです。

・基礎控除の引下げ(現行5000万円+1000万円×法定相続人→改正後3000万円+600万円×法定相続人)

・死亡保険金に係る非課税限度額の法定相続人の範囲の変更

・相続税・贈与税の一部の税率変更

・相続時精算課税制度の受贈者の範囲に20歳以上である孫が追加されます(現行、推定相続人のみ)。

ざっとこんなところになりますが、基本的には、相続税も増税の方向性です。ちなみに、もしこの大綱が通れば、平成27年1月1日以後の相続・贈与について適用されます。従って、子供に生前贈与をしようと考えている方は、この改正も踏まえて上で、長期的に対策を考えていく必要がありますね。生前対策等でなにかございましたら、ご連絡頂ければと思います。宜しくお願い致します。

 

税理士 三瀬 宏太

このコラムの執筆専門家

三瀬 宏太(税理士)

法律事務所ホームワン 税理士

講師時代の経験から難解な税務会計を分かりやすく御説明します。

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三瀬 宏太
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