土地の生前贈与・生前相続

地主さんの相続での最大の悩みは、所有している土地の相続ではないでしょうか。現金での支払いが基本の相続税では、土地を換金することで支払をするしかありませんが、売買などが難しい場合は所有している土地の分割方法や相続税対策に困ることも多いと思います。地主さんの相続税対策として、現在常套手段となっているのが土地の有効活用。遊休地や自宅敷地の余裕部分にアパートやマンションなどの貸家を立てる方法。ただし、貸家を建てても採算が採れなければ意味がありません。 しかし、生前贈与、相続税対策としては貸家を建てるだけで大きな意味があるといえるのです。実際にどのような効果をもたらすことができるのか仕組みをご紹介します。

土地の生前贈与1 - 土地の評価額を下げる

自宅の敷地や遊休地、青空駐車場など、自由に使える土地のことを「自用地」といいます。自用地にアパートやマンションなどの貸家を建てると、その土地は「貸家建付地」となって評価額が下がるのです。自分の土地であったとしても、建物を借りている借家人には間接的にその敷地を利用する権利があります。従って、自由に売買できなくなりますので自由度の低さから評価額が下がる仕組みになっおり、ほとんどの地域で自用地の21%引きとなります。

また、建物の評価減が見込めることもメリットの一つです。例えば、貸家の建築費用に1億円かかった場合、建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じでおおむね建築費用の60%となっています。つまり、1億円の建物が評価上は6000万円となりますので、財産が60%圧縮されるのです。更に、アパートなどの「貸家」はほとんどの地域で自用家屋の70%で評価されますから、最終的に建築費用1億円の貸家は4200万円の評価額となり、約60%の圧縮となります。

ここでは現金で貸家を建てた場合をご紹介しましたが、現金で支払えない場合が大半だと思います(銀行などの借入金での建築が一般的)。銀行からの借入金は債務控除として相続財産から控除できますので、前述の現金を支出する場合と同様の効果があります。

また、貸家を建てて家賃収入が現金で発生することから、相続税の資金準備も可能となります。収入が増えれば相続税は多く課税されてしまいますが、土地の評価額を下げた分、融通のきく現金収入が増えるのですから、これは相続税対策としても非常に有効な手段だといえます。ただし、貸家を運営することは一種の事業ですから、この運営に伴うリスクももちろん発生します。例えば、空き部屋が多くなってしまったり、予定通りの家賃収入が得られなかったり、貸家の管理や補修なども発生します。自己資金はもちろん、計画性を持ってこのような対策を検討することが必要だといえます。

土地の生前贈与2 - 土地の利用区分を変更する

市街地にある土地の評価額は、路線価をベースに決められますが、2つ以上の道路に面していると土地の評価額が高くなるのです。そして、その土地が面している道路の中で最も路線価が高いものを基準として定められます。そのため、比較的広い土地を保有していて、それが複数の道路に面している場合、土地の利用区分を変更・分割することによって評価額を下げることができます。特に、幹線道路などは評価額が高くなっていますので、この場合は効果的に下げることができます。

前項であげたように、貸家を建てることで土地の評価額を下げることができますので、自宅の敷地に余裕がある場合などは、幹線道路に面している部分に貸家を建てることで土地の評価額を圧縮することができるのです。自分が保有している土地でも、ひと括りではなく、利用単位ごとに評価する決まりとなっていますので、この場合ですと自宅の敷地の路線を下げ、貸家を建てることで幹線道路に面していている部分の評価額を下げることで大幅な圧縮が見込めます。

土地の生前贈与3 - 等価交換方式の利用

保有している土地の有効活用をしたいが、貸家を運営することにマイナスイメージがあったり、建築資金が用意できない場合、放置してしまうというケースがあります。このような場合には「等価交換方式」を検討しましょう。等価交換方式とは、地主と土地開発業者(デベロッパー)とが共同で、主に貸ビルや賃貸マンションなどを建設する方法です。地主が土地を、デベロッパーが建物を建築し、その後土地の一部と建物の一部を等価になるように交換し合い、地主とデベロッパーそれぞれが土地・建物を所有します。

この方式であれば、土地の一部は失いますが、資金負担無く建物を所有できるようになります。借入金も無くクリーンな運営ができます。ただし、土地を提供するのみで建築等をデベロッパーに任せることになりますので、自分が主導権を握れるわけではないのがデメリットといえるでしょう。

土地の生前贈与・生前相続について分からなくなったら
「相続 専門家プロファイル」へご相談ください。
最適な相続の専門家を無料でご紹介いたします。 相談内容を入力する

※専門家の紹介、また、専門家からの提案・見積りは、無料でお使いいただけます。実際にお仕事を発注する段階で金額などは専門家と個別にご相談ください。

土地の生前贈与・生前相続に関するQ&A

土地の生前贈与・生前相続に関するQ&A一覧