不動産の遺産相続対策・評価・売却について
生前にできる!不動産の遺産相続対策
生きている間にできる不動産の遺産相続対策としては3つあります、1.遊休地にアパートを建築する、2.土地の利用区分を変更する、3.老朽化した自宅の建替え、です。
ここでは、それぞれの対策についてご紹介したいと思います。
1.遊休地にアパートを建築する
使用していない土地などにアパートやマンションなどの貸家を建てると、その土地は「貸家建付地」となり評価額が下がります。自用地であったとしても自由に売買できなくなりますので自由度の低さから評価額が下がる仕組みになっており、ほとんどの地域で自用地の21%引きとなります。
また、建物の評価減が見込めることもメリットの一つです。例えば、貸家の建築費用に1億円かかった場合、建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じでおおむね建築費用の60%となっています。つまり、1億円の建物が評価上は6000万円となりますので、財産が60%圧縮されるのです。更に、アパートなどの「貸家」はほとんどの地域で自用家屋の70%で評価されますから、最終的に建築費用1億円の貸家は4200万円の評価額となり、約60%の圧縮となります。
ここでは現金で貸家を建てた場合をご紹介しましたが、現金で支払えない場合が大半だと思います(銀行などの借入金での建築が一般的)。銀行からの借入金は債務控除として相続財産から控除できますので、前述の現金を支出する場合と同様の効果があります。
また、貸家を建てて家賃収入が現金で発生することから、相続税の資金準備も可能となります。収入が増えれば相続税は多く課税されてしまいますが、土地の評価額を下げた分、融通のきく現金収入が増えるのですから、これは相続税対策としても非常に有効な手段だといえます。ただし、貸家を運営することは一種の事業ですから、この運営に伴うリスクももちろん発生します。例えば、空き部屋が多くなってしまったり、予定通りの家賃収入が得られなかったり、貸家の管理や補修などが考えられます。自己資金管理はもちろん、計画性を持って検討することが肝要です。
2.土地の利用区分を変更する
市街地にある土地の評価額は、路線価を基準にして決められますが、2つ以上の道路に面していると土地の評価額が高くなります。そして、その土地が面している道路の中で最も路線価が高いものを基準として定められます。そのため、比較的広い土地を保有していて、それが複数の道路に面している場合、土地の利用区分を変更・分割することによって評価額を下げることができます。特に、幹線道路などは評価額が高くなっていますので、この場合は効果的に下げることができます。
前項であげたように、貸家を建てることで土地の評価額を下げることができますので、自宅の敷地に余裕がある場合などは、幹線道路に面している部分に貸家を建てることで土地の評価額を圧縮することができるのです。自分が保有している土地でも、ひと括りではなく、利用単位ごとに評価する決まりとなっていますので、この場合ですと自宅の敷地の路線を下げ、貸家を建てることで幹線道路に面していている部分の評価額を下げることで大幅な圧縮が見込めます。
3.老朽化した自宅の建替え
老朽化した自宅を建て替えるというのも1つの手法です。これは、子供と2世帯住宅にするという考えがある場合にも大きなメリットがあります。家屋の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は建築費用の60%程度となりますので、建築費用と評価額の差額分だけ、評価上の財産を圧縮することができます。これは住宅の贈与というよりも、相続時の財産を減らすことで相続税の節税を目的としているものです。もちろん古い家屋は無くなりますので、その分も財産が減少します。建築費用は、自己資金と借入金のどちらでも同様の効果を得られます。
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