夫婦間での生前贈与時の贈与税

長寿大国の日本では、男性の平均寿命が79.9歳、女性が86.4歳となり、男女の平均では世界一となっています。5人に2人が65歳以上という高齢化社会で、長年連れ添ったパートナーにどれだけ有用な財産を遺せるかは大きな課題となってきます。また、遺産分割がうまくいかず、実子や親族と揉めた場合、遺された夫・妻の精神的ダメージは大きなものとなります。実際に相続として財産を遺すことも重要ですが、配偶者控除として贈与税が非課税となる金額が定められています。その制度を利用して、元気なうちに財産を配偶者に贈与することも検討してみましょう。

夫婦間での贈与税控除を利用してみよう

結婚20年以上の夫婦であれば、贈与税の配偶者控除を活用することが可能です。(事実婚は認められない)この制度は、婚姻期間が20年以上の配偶者へ居住用不動産、またはそれを取得するための資金を贈与する場合には最大2000万円を課税価格から控除できるというものです。基礎控除と合わせて活用することも可能ですので、最大2110万円まで無課税で贈与することができます。この配偶者控除は、パートナーが亡くなる3年以内でも相続財産に加算されることはありませんので、相続財産を減らすのに有効な方法です。ただし、夫婦間で利用できるのは1度だけ。2110万円を最大限に利用することをお勧めします。

居住用不動産購入資金でなければ、不動産を贈与することになりますが、その場合、①土地のみ②家屋のみ③土地・家屋の両方の3パターンが考えられます。家屋は築年数の経過によって年々評価額が下がっていきますが、土地は値上がりする可能性があります。土地と家屋を贈与したい場合には、3000万円以上の売却益が見込める場合にしましょう。売却した場合の譲与所得税には、「3000万円以上の特別控除」がありますので、こうしておくと夫婦共に合わせると最大6000万円までの所得税控除を受けることが可能になります。

夫婦間での贈与税控除の注意点

2110万円の配偶者控除は、相続時の財産を減らすことに貢献はしますが、意外と相続税額が減らない可能性があるので注意が必要です。自宅敷地は小規模宅地等の特例という税計算が発生するため、相続税の計算の際には80%引きの評価になるためです。そのため、事前に贈与をしておいたとしても、相続財産を20%減らしたことにしかならないのです。自宅外にも小規模宅地を保持している方はより多くなりますが、贈与税の配偶者控除は相続税対策としては期待しているほどの効果が得られない場合もあることを頭に入れておきましょう。

夫婦間での贈与税対策の失敗例

日本では、妻と死別した男性は151万人、夫と死別した女性は766万人とも言われています。ですので、一般的に男性が先に亡くなると思い、妻に対しての相続をする場合が多いとも言われていますが、万が一妻が先に亡くなった場合、事前に配偶者控除を利用していると損をすることがあります。特に子供がおらず、先に配偶者控除で自宅を妻に贈与していた場合、妻が先に亡くなると妻の兄弟姉妹にも遺産の4分の1を相続する権利があります。

男性が先に亡くなるということだけを考えて、贈与や相続対策を行っていると、思わぬハプニングが起こることがありますので、注意をしてください。

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