親が亡くなったら家に住めなくなることがある!

-

公開日時
2011/08/25 12:00

先日、友人から相談がありました。

彼女は、お父さんが既に亡くなっており、母親の実家に母親と自分と旦那さんと子供たちで住んでいます。
そして、彼女には、結婚をして家を出ているお兄さんが1人います。

そうした環境の中、お母さんが脳卒中で倒れました。
幸い一命は取り留めたのですが、身体を動かすことも目を開けることもできません。
こちらの話に対して頷くことさえもできなくなってしまいました。
ただ、話を聞いて涙を流したりはするようですので、意識はあるようなのです。

で、問題となったのが家です。

相続税がかかるほどの財産はありませんが、友人家族が住んでいる家はお母さん名義です。

お兄さんが家に対して相続放棄をし、貯金などのその他の財産をその分多く受取るということになれば問題は無いのですが、お母さんの貯金はほとんど病院の治療費に消え、家だけが唯一の財産らしいのです。

万一、お母さんがこのまま亡くなってしまったら、家は相続財産となり、彼女のお兄さんと彼女とで法定相続することになります。
現に、お母さんがこういう状態になってから、お兄さんは相続の話を持ち出してきているみたいです。

もし、家だけが唯一の財産で、法定相続するとどうなるか?

お兄さんも、彼女の家族が住んでいる家に対して2分の1の所有権持分を持つことになり、賃料相当分の2分の1を彼女の家族に請求する権利が発生します。
それを避けるためには、家の評価額の2分の1の金額を兄に渡して、彼女だけの名義にする方法。
もしくは、住み慣れた家を売却して、残ったお金を兄と折半する方法があります。

不動産について所有権者が増えることは、それぞれの所有者の意見をまとめて、ことに当たらないといけませんので、売却するにしても収益とするにしても維持管理の面でも、それは極力避けた方が良いですね。
よって、彼女は兄にお金を渡して自分の名義にするか、住み慣れた場所ではあるけれども売却してお金を折半するのが、より良い方法だと思われます。

しかし、そもそも相続財産の処分は、被相続人であるお母さんが決めることができたはず。

脳卒中で倒れる前には、お母さんは彼女に家を譲るという話をしていたらしいのです。
でも、口頭で言っただけでは遺言とはみなされません。
しっかりと遺言として書面に残しておいて欲しかったですね。
(お母さんが回復されるのが1番いいのですが・・)

自分名義の家に子供たちと住んでいて、家が財産の大部分だという家庭は結構あるようです。
万一、自分が亡くなった後、兄弟で争いになったり、そのために家に住めなくなって売らないといけなくなるような状態は避けたいですよね。

物事の判断がしっかりとできるうちに、遺言を書いて、この財産は誰にと指示しておくことが必要ですね。
その他、生きているうちに財産を譲っておくというのも有効な方法です。

ちなみに、全財産を誰かに渡すと遺言で指示しても、相続人が主張すれば遺留分というものが認められ、本来相続できる分の半分までは財産を受けることができますので、その点もお気をつけください。

このコラムの執筆専門家

平野 秀昭(不動産コンサルタント)

有限会社アーバンビレッジ 代表取締役

豊富な経験とノウハウで、不動産売買のコンサルティングをします

売却においては高く売るためのコツ、購入においては、住宅ローンの組み方、安全な取引のポイントをアドバイスし、業界歴20年の経験を生かした安心の不動産取引を丁寧にサポートします。また、不動産投資・競売入札・任意売却のコンサルティングも行います。

平野 秀昭
相続財産について分からなくなったら「相続 専門家プロファイル」へご相談ください。
最適な相続の専門家を無料でご紹介いたします。 相談内容を入力する

※専門家の紹介、また、専門家からの提案・見積りは、無料でお使いいただけます。実際にお仕事を発注する段階で金額などは専門家と個別にご相談ください。