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造り手の都合で消えゆく和室
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最近は和室の無い家が増えています。和室があれば安心してゴロリと寝ころがれるので、私は好きです。それは共感を頂けるようで、リビングの隅に畳だけ敷くことは良くあります。ハウスメーカーの建てる規格住宅にも和室のある間取りはめっきりと少なくなりました。何故なのでしょう?
まずは、現代の大量生産の流れから外れてしまっている事が挙げられます。
和室にあるユニット建具がありません。襖や障子は健在メーカーが製造している規格品の建具の品揃えの中に入っていません。柱から柱まで、敷居から鴨居まで、一つ一つ採寸しないと製造出来ない為です。洋室のドアであれば、ドア枠があり、柱との間に隙間が空いていても、仕上げてしまえば何も不都合はありません。和室の建具の場合は柱に直接建具が当たる為、隙間が空くとクレームの対象になります。
流通ルートも、和室の建具が建具屋さんが製造するのに対し、洋室の建具は建材屋さんが納入します。和室を作ってしまうと、同じ建具工事なのに、二社に発注しなければならず、間接経費が余分に掛かってしまいます。
昔は和室とセットになっていた床の間の存在価値も無くなっています。床の間に四季折々の調度品を飾って季節を感じていた日本人ですが、室内温度がそうである様に最近は季節感を感じなくなっています。折角四季のある国に生まれながら、日本人は生活の中から四季を排除して来ました。昔は床の間を通して寒い時は寒い楽しみ方、暑い時は暑い楽しみ方を知っていました。四季を感じられない家になった時点で床の間も必要無くなっています。
工法的な話しをしますと、大壁造りの洋室は大工さんの技能的優劣が現れ難い造りであるのに対し、真壁造りの和室は、納まり上逃げの効く造り方をしていない為、技能的優劣が顕著に現れます。これも和室が造られなくなった原因の一つです。
つまり、造る側の都合で和室が減ってきています。既製品を使えず、技能の優劣がはっきり現れ、コストが掛かると言う理由で、茶の間になり客間にもなり寝室にも使える便利な空間が現代の住宅から排除されようとしています。
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