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安藤 美樹
(建築家)

閲覧数順 2017年11月20日更新

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建築条件付土地分譲の弊害を考える

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●建築条件付分譲住宅の弊害を考える

不動産業者さんが広い土地を購入しそれを宅地として開発します。宅地開発した物件を売却して利益を得るのですが、そこには二種類の売買方式があります。一つは土地のみで分譲する方式ともう一つは建物とセットで売る「建築条件付」で分譲する方法です。

●それぞれのメリットデメリットはなにか

土地のみで販売する場合、既存建物の解体費や道路を造ったり、設備を埋設する開発造成費は全て土地の売却費に上乗せされるため、分譲益が目減りします。建物とセットにした方が利益が大きいのです。
分譲地の売価の内訳を仮に土地代600万円+造成費200万円+粗利200万円=合計1000万円で売るよりも、分譲地代1000万円+建設費800万円+粗利200万円=2000万円の土地付一戸建てを分譲した方が、不動産屋さんとしては利益が倍になる為です。
秀光ビルドの建物を調査して判明しましたが、その家もその地域の不動産屋さんが秀光ビルドに発注し、土地付一戸建てとして、分譲された建物でした。こういった建物は、区画の一つをモデルルームとして先行して建設し、残りの区画は投資費用を抑える為建築条件付として分譲されます。
建築条件付建物は、上手く回転すれば誰もが得をする方式なのですが、一歩間違えるととんでもない結果となります。
2000万円の投資で建てたモデルルームの反響が悪かったとします。半年間で完売する予定が一年経っても完売できなかったとします。それでも土地取得には銀行から融資を受けいますので、その金利分が不動産屋さんの利益を圧迫していきます。土地の造成が完了していますので、圧迫された経費分は建設費用を切り詰める事で解消することになります。
そうなると、良質な工務店さんに発注することが出来ず、評判の悪い工務店に発注することになります。そうなると何とか赤字を出さずに完売できたとしても、メンテナンス処理やクレーム対応で予想外の出費が嵩みます。顧客は欠陥住宅を掴まされたと訴え、不動産屋さんは事業に失敗する結果となるのです。

●その原因は何なのか

今回の調査でそのデメリットの危険性を知り合いの不動産屋さんにぶつけてみました。すると不動産屋さんのホンネは「クレーム対応しなければならない建物の建設工事については関与はしたくない。出来れば土地分譲だけで早期に資金を回収したい」との事でした。それが出来ない理由として、融資先の金融機関の影響が大きいとの事でした。
金融機関とすれば、同じお金を融資するのであれば、土地だけでなしに建物もセットにすれば貸し付けるお金が増える訳ですからメリットは大きいです。その上不動産が売れても売れなくても金利は入ってくるのですから、建築条件付を貸し付けの条件にして融資するのです。

●もっと良い方法はないのか

不動産屋さんとしては、クレーム対応が苦労する訳ですから、出来るだけリスク回避する為に規模の大きいハウスメーカーに発注します。その結果秀光ビルドと云った知名度のある会社が建設することとなるのですが、いくら知名度があっても発注金額が問題なわけですから、建築基準法をギリギリクリアできる程度の好ましくない建物が乱造される結果となります。
安くて良質な住宅を手に入れることを願う顧客との利害の不一致がこの時点で始まっているのです。
良質な家を提供し社会に貢献するのは不動産屋さんの使命でもあるはずです。もっと他に方法はないのでしょうか。

●建築プロデュース

土地と建物をセットで売る方法は他にもあります。建築をプロデュースする方法です。不動産屋さん自身は建築工事に関与せず、その代わり建築をプロデュースすることで報酬を得れば良いのです。買主側から見れば建築条件が外れて自分の気に入った業者に建物を発注するメリットが生まれます。不動産屋さんは建築プロデューサーとして住宅ローンのマネジメントをすれば、事業資金を借りた銀行にも住宅ローン融資を誘導できるのですから、銀行への顔も立ちます。
その方が、後々のリスクをかぶる事なく、宅地開発と云う不動産業本来の仕事に専念できるのです。

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