福味 健治(建築家)- コラム「6、踏み切れないのは何故か」 - 専門家プロファイル

福味 健治
木造住宅が得意な建築家。

福味 健治

フクミ ケンジ
( 大阪府 / 建築家 )
岡田一級建築士事務所 
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6、踏み切れないのは何故か

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●非常識な家の建て方教えます 背中を押して欲しい貴方へ 2008-12-19 15:37
実際に間取り相談依頼のあった、クライアントの話し。
15坪敷地に家を建てたいとの事。家族四人で住めれば良いが、車庫付でLDKは出来るだけ広くとの要望だった。うむ・・・3階建てしかないなぁ・・・
狭小地住宅はアイデア満載にして挑戦的な住宅を造らないとクライアントの満足度が低いので、依頼があった時からフンドシを締めなおして(面白半分で)日頃したいと思いながら出来なかったアイデアを盛り込んで、面談に行ったのは9月の事。
プランを見た瞬間の印象が芳しくない。あんまりピンと来ない様子。色々と趣旨を説明しているうちに、寝室が無駄だと言い出す。ご主人の意向は寝る場所はカプセルホテルの様な感じで全然構わないから、もっと収納部分を広く取りたいと云う。
面白い発想をする人だ^^
リビングは奥様は気に入っておられたが、ご主人は一度座ってしまえばそこから動かないので、座った位置で全てのモノが手の届く処にあるのが理想だとの事。
「だったら、LDKももっと狭くして、その分収納にすれば如何でしょう?」
という事で、二週間ほどして第二案目を抱えて打ち合わせに行って来ました。寝室にはカプセルベッドを4台並べて(重ねて)リビングもそれぞれの座る位置まで想定して収納を造って・・・
それでもまだピンと来てない様子。
まだ圧倒的に収納スペースが足らないのだそうだ。家に置いてある荷物の内訳を聞いてみると半分は家財道具だが半分は自営業の為の事務書類の入ったダンボールの山だそうだ。
資料として何時必要になるか判らず捨てるに捨てられないとのこと。
そしてもっと過激な事をのたまう。食事も立って食べても全然平気。キッチンテーブルも必要ないと言い出す。倉庫の中に水廻りを持ってきた感じをイメージしているようだ。「奥様はそれでいいんですか?」と聞くと「絶対反対!リビングは広く、カプセルホテルはもってのほか」
要するに家族の意見が全然纏まっていない。もっと話しを聞いていく内に、プラン作りを10年前からやっていて堂々巡りをしているのが判ってきた。じっとお二人を観察していて、このご夫妻は類稀なるバランス感覚の持ち主だという事が判って来た。
片方が広くと云えば、片方は狭く。収納スペースを広く取りたいけど予算は○○円以内(出来ない!!)寝室も個室が欲しい奥さんに対し旦那さんはカプセルベッドで充分。
極論すれば新居で夢一杯の奥さんに対し、意識する・しないに関わらず現状でも満足している旦那さん(ダンボールに囲まれての生活らしい)こう云った対極が絶妙なバランス感覚となって、現状を打破できないでいる。
ご夫婦の間での意見の相違は良くある話しです。でもこれが自分ひとりだけの場合でも結構似たような事をしているのです。現状を打破したいと願う自分と、現状のままでいたい自分が混在するのです。あれもしたい、これもしたいと積極的な自分がいる反面、そんなことをしてもし失敗すれば今までの苦労が水の泡になる。そこまで行かなくても現状より悪くなる可能性ある。とブレーキを掛ける自分が存在するのです。メリットとデメリット対比させるまでは良いのですが、そこから結論を導き出せない人が結構いるのです。
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