福味 健治(建築家)- コラム「18年前の今日、私は神戸に入りました 3」 - 専門家プロファイル

福味 健治
木造住宅が得意な建築家。

福味 健治

フクミ ケンジ
( 大阪府 / 建築家 )
岡田一級建築士事務所 
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18年前の今日、私は神戸に入りました 3

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●免震構造住宅 2013-01-19 08:26

渋滞を避けるため、国道2号線と43号線を縫う様に走っていたので、阪神電鉄の線路を何度も横切ったが、西宮市を抜けた当たりで高架の橋桁が落ちていた。橋桁の一方はまだ高架の上にあり、三角形に隙間が出来ている。車一台ならなんとか通れそうだ。車を進めて丁度真下に来た時、前を行く車が止まってしまった。
 対向車がいるらしい 「おいおいこんな処で止まるなよ。今余震が来たらどうすんねん」 ドラマだと計った様に余震が来て主人公は絶体絶命のピンチになるのだろうが、この時はどうにか無事に通過出来た。日暮れが迫ってくる。明るい内に須磨に着きたいが、これから先何があるか判らない無鉄砲に出て来た事を後悔した。ロサンゼルス地震の時は各地で暴動が起き商店やスーパーの商品が略奪されたり殺人や暴動を繰り返す無政府状態が続いた。
 神戸に近づくに従って渋滞が益々ひどくなる。2号線はもう殆ど機能していない。43号線は思ったより交通量は少なかったが、河川のたびに地面が陥没したのか橋脚が持ち上がったのか40cm程の段差が出来ていて渡れない。この先も寸断されているだろう。そして何よりも頭上の阪神高速が今にも崩れてきそうに思える。コンクリート製の柱脚は殆ど橋桁の下当たりで破壊されている。ひどい柱脚は主筋が飛び出し飴の様にねじ曲がっている。これではとても橋梁を支えきれない。大きい余震がくれば倒壊するのは目に見えている2号線も43号線も諦め、もう一筋南側の酒蔵通りを進む事にした。
 ここも渋滞がひどいがここしかない。ここまで来ると心細さが手伝って人と同じ行動をとりたくなる。もう辺りは真っ暗だ車のライトだけが唯一の明かりである。そんな中をノロノロと走っていると対向車が泥を跳ね上げた。雨か?違う。水滴はフロントガラスには付いていない。水道管が破裂しているのか?いや違う。とっくに断水しているはずだ。それにこんなにドロドロしていないだろう。まるで杭工事に使うベントナイト水の様だ。液状化現象!? 学生時代に教科書でしか習った事のない現象を目の当たりに見ている。
 地下の砂質層が常水面下にある場合、地震等の振動でたちどころに液状化し急激に地耐力を喪失する現象だ。もし杭等で支持層に自重を伝達していない建物があったら、沈没船の様にズブズブと土中に沈み込んだに違いない。締まった砂は問題無いが緩い砂層は始末に悪い。土地を購入するときはボーリングデータを添付する時代が来るだろう。(現在は住宅性能保証精度により、建設時、地盤調査が義務化されています)
 渋滞を抜け出したいがもう脇道に入る事が出来ない。狭い道は塀が倒れ、建物が倒れどこで行き止まりになっているのか検討もつかない。

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