使い方次第で薬にも毒にもなる「部下→上司評価」 - 人事評価・賃金精度 - 専門家プロファイル

ユニティ・サポート 代表
東京都
経営コンサルタント
03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:人事労務・組織

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

使い方次第で薬にも毒にもなる「部下→上司評価」

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 人事労務・組織
  3. 人事評価・賃金精度
社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 少し前のことですが、あるテレビの取材で、「部下→上司評価」に関するコメントを求められました。

 

 そもそもの題材は、茨城県のある町が、町長の発案で部下が上司を評価する「新たな勤務評定」を取り入れたということでした。

 「進行管理力」「折衝調整力・対応力」「指導統率力」「責任性」「協調性」の項目を5段階で評価し、記名で封筒に入れてのり付けし、所属長に提出するとのことです。結果は町長のみが見ることができ、人事異動や昇給・昇格の参考資料として活用されるそうです。

 

 導入の目的は、「行政サービスの向上」とのことで、町長によると、行政に対する苦情、不満が多かったということで、「管理職に緊張感を持って仕事をしてもらうのが狙い」「職員同士のコミュニケーションも活性化させて、行政サービスの質を高めていきたい」とのことでした。

 

 「部下→上司評価」や「360度評価」と呼ばれる制度は、ある調査によると、大企業での導入が25%を超えるなど、最近はわりと一般的になっています。

 

 そのメリットとして、

・結果のフィードバックで上司の自己認識が高まるなど、上司の能力開発につながる。

・様々な人から多面的に評価されることで客観性が得られる。

・部下とのコミュニケーションが活性化する。

などがいわれ、逆にデメリットでは、

・評価に不慣れな部下から、評価基準のバラつきや印象評価など客観性のない評価がされる。

・苦手な上司を追い出すような懲罰的評価がされる。

・嫌われたくない意識から、上司が部下となれあいになる。

などがあります。

 

 実際に導入している企業でも、処遇決定に直接使うようなところはほとんどなく、多くの場合は上司の能力開発を補完するような活用をしています。比較的マイルドな使い方が多いといえるでしょう。

 

 なぜかというと、このような制度は、実施目的や組織風土、誰が誰を評価するか、結果を何に使うかといった運用方法によって、制度のメリット、デメリットが極端に出やすいということがあるからです。

 例えば、メリットとデメリットの両方に「評価の客観性」に関するものがありますが、導入する環境や条件によって、まったく正反対の結果になる可能性があります。

 

 今回の例でいくつか見ていくと、まず「組織風土」として、自治体等の行政組織は、年次へのこだわりが比較的強い傾向があるので、下の者から評価されることへの抵抗感が、民間企業より強い可能性があります。この制度で抵抗感が強まるかもしれないですし、反対にその意識を壊すことができるかもしれません。

 

 次に、実施目的が「不満や苦情が多かった行政サービスの向上」ということをみると、何か具体的な問題があったと思われ、町長の本音まではわかりませんが、多少懲罰的であったり、危機感を植え付けたいというイメージを持っている感じがします。これをきっかけに、危機感から自発的な取り組みがされるようになるかもしれないですし、反対に現場が萎縮してしまうかもしれません。

 

 さらに「運用方法」では「記名式」ということですが、上司に見られては本音で評価しない懸念があるとして、「封筒のりづけで町長のみ閲覧」とし、その活用は「異動、昇級昇格の参考にする」ということです。この活用方法にはブラックボックスの部分も多く、現場の萎縮や疑心暗鬼を生む懸念がありますが、個別の上司・部下間の問題については、何か情報が得られるかもしれません。

 

 このように、「部下→上司評価」や「360度評価」のような制度は、使い方次第で薬にも毒にもなります。

 そもそもの導入目的を見据え、導入後の関係者の反応を見ながら、柔軟な対応が必要だと思います。

 

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(東京都 / 経営コンサルタント)
ユニティ・サポート 代表

組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。

03-4590-2921
※お電話の際は「"プロファイル"を見た」とお伝え下さい。

カテゴリ 「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム

カテゴリ このコラムに関連するサービス

対面相談 【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

中小法人限定で当事者には気づきづらい組織課題を社員ヒアリングで診断。自社の組織改善に活かして下さい。

料金
無料

組織の課題は、当事者しかわからない事とともに、当事者であるために気づきづらい事があります。これまでの組織コンサルティングで、様々な組織課題とその改善プロセスにかかわった経験から、貴社社員へのヒアリング調査によって組織課題を明らかにし、その原因分析や対策をアドバイスします。予算がない、依頼先を見つけられないなど、社外への依頼が難しい中小法人限定です。社員ヒアリングのみで行う簡易診断になります。

【無料】250名以下の企業限定:社員ヒアリングによる組織診断

このコラムに類似したコラム

「やる気が出ない理由」を解決するとやる気が出るのか 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2018/05/22 08:00)

上司への接し方から見える組織風土 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2013/09/30 08:00)

オフィス環境から見える社風や雰囲気 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2013/08/12 08:00)

組織の“本来の色” 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2012/05/21 06:00)

人がやる気を出す要素 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2007/06/04 17:07)