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中井 雅祥
(求人とキャリアのコンサルタント)

閲覧数順 2019年04月20日更新

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「自分の意志で引退できる人」と企業の定年のこと

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 少し前の話題ですが、あるテレビ番組で、プロ野球OBの張本勲氏が、サッカーの三浦知良選手に対して「もうお辞めなさい」と発言したということで、ネット上ではかなりの批判がありました。

 一方の三浦選手は、「“これなら引退しなくていいよと言わせてみろ”と(張本氏に)言われてるんだな」と、前向きに受け取った旨のコメントを出していました。

 三浦選手の方が一枚上手だったような感じがしましたが、この“引退”という話で、ある芸能人が言っていたことを思い出しました。

 

 一字一句がその通りの内容ではありませんが、概略として、

「いつ引退?とか言われるけど、仕事の声がかからなくなったら、続けたくても引退せざるを得ない」

「結局は自分のニーズが無くなったら引退な訳で、それは自分で決められることではない」

「仕事があるうちはまだ望まれているものだと思って、とりあえず続けようと思う」

というようなことだったと思います。

 

 また、これはサッカーのある代表選手の話ですが、「代表引退などというけれど、自分の意志にかかわらず、選ばれなくなったらそれが引退だ」と言っていました。

 

 この「引退は自分の意志では決められない」というのは、私は本当にその通りだと思います。

 私のようなコンサルタントも、仕事が無くなれば、自分の意志にかかわらず引退を考えなければならなくなるでしょう。

 自分の意志で“引退”を決められる人は、「恵まれた才能がある」「誰からも認められる成果を残した」など、ごく一部の一流の人にしか許されないのではないかと思います。

 

 これが企業に勤めるサラリーマンの場合はどうでしょうか。

 まず、多くの会社には定年があります。入社した時から引退時期が年令で決まっているというのは、“自分の意志で決められない”という中でも、かなり理不尽な部類でしょう。不満に思う人がいるのは当然です。

 

 その一方で、企業には、定年後でも65歳までは継続雇用することが義務付けられています。

 雇用条件が変わり、多くの場合で給料が下がり、そのかわり勤務時間も短くなったりしますが、本人が辞めると言わない限り、企業はその人が65歳になるまでは雇い続けなければなりません。65歳までの限定がつきますが、本来は一部の一流の人しかできない、“引退は自分の意志で決められる”という余地が少し広がります。

 

 継続雇用について、企業側はあまり前向きでない反応をすることもまだまだ多いですが、これは引退時期の社員本人の裁量が増えたことにも一因があるでしょう。その人の働きぶりにかかわらず、さらに5年間雇い続けることを重荷に感じている会社もあります。

 

 それほどやる気はなくても、「つぶしが利かない」「転職が面倒」「今のままが楽」などという社員は、とりあえず会社に残ろうと考えるでしょうが、そういう社員の多くは、自分の能力や成果を高める努力をせず、ただ組織に残ることだけが目的化します。

 そんな社員を、会社側は成果とコストが見合わないとお荷物扱いしますが、そういうキャリアにしてしまったのは会社にも責任がありますし、もちろん自分のキャリアを会社任せにしてしまった本人の責任もあります。組織に残る以外の選択ができない人ほど、その傾向が強いです。

 

 最近は、定年制をなくし、年長者でも働きやすい環境を作って業績を伸ばしている会社があります。年長者は臨機応変さや柔軟性、環境変化といったことはあまり得意ではありませんが、その一方で様々な経験値を持っていますから、それをうまく活かせば、数多くのメリットが得られます。

 朝早い出勤時間を苦にしないので、その時間帯の仕事を任せているという会社がありました。

 

 また、ある会社では継続雇用者には歩合給を導入していますが、一般的には不安定さから必ずしも良い捉え方をされない歩合給も、ある程度の生活基盤ができた年長者からすれば、自分の都合に合わせた働き方ができるということがメリットになっています。

 

 これは年令にかかわらないことですが、会社と社員のお互いの事情が一致した働き方ができれば、それが一番望ましい形です。少なくとも「お荷物」や「しがみつく」といった言葉が出てくるのは、やはり好ましくないことです。

 雇う側と働く側のいびつな関係は、お互いにとって幸せなことではありません。

 

 

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