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悪い評価を避けること、伝えないことで起こる不都合

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 人間にはそれぞれ個性があり、同じようにそれぞれの能力には違いがあります。会社で仕事をする上で、その結果や成果やプロセスには、それぞれ違いが出てきます。

 

 そんな中では、もちろん少ないに越したことはありませんが、仕事の結果が出ない、成果が乏しい、作業が遅い、ミスが多いなど、業務上での能力不足と評価をせざるを得ない社員がいます。こんなときの会社からの本音として、「できれば辞めてもらいたい」などという声が出てくることもしばしばあります。

 

 解雇規制が厳しい日本の企業では、会社の都合で社員を辞めさせるには、相応の理由が必要ですから、どんな社員でも簡単に解雇はできませんし、会社としてその人を採用した責任もあります。別の活かし方を考えたり、指導方法の工夫をしたり、切り捨てずに対処することが大前提となります。

 しかし、会社として、さすがに我慢の限度を超えてしまうような状況が、実際にはあります。その結果として、残念ながら退職勧奨や解雇というような形を取らざるを得ないことがあります。

 

 会社からの言い分を聞くと、確かに戦力ならないと考えるのは仕方がないと思う一方、会社が能力不足と評価していることを、本人にきちんと伝えていないことが、意外に多いように感じます。評価制度などを運用していて、仕事ぶりを評価し、結果をフィードバックする仕組みがあるにもかかわらずです。

 

 例えば、直前に行なった人事評価でも、ほぼ標準か多少のマイナス程度で評価されていたり、面談をしても、不足部分の指摘すらしていなかったりします。

 ほぼ平均的な評価か、多少のマイナスはあっても落第点とは思えないような評価をされている社員が、いきなり「能力不足だ」と言われ、解雇や退職勧奨などと告げられたとしたら、これでは納得できるはずもありません。必要以上にもめるような事態となってしまいます。

 

 こういう時、評価を担当する上司に、なぜ相応の評価をしないのかと尋ねると、「この評価項目ではそこまで悪い評価はできない」などと制度のせいにしたり、評価面談でフィードバックをしない理由を尋ねると、「やる気を無くさないように」「へそを曲げられては困る」など、あえて伝えない方が良いという言い方をします。「目先の軋轢は避けたい」「自分が悪者になりたくない」というような、責任回避の姿勢を感じてしまいます。

 

 マネージャーの立場としてそれでは困りますが、個人の感情として、自分が嫌われるようなことを避けたいと考えるのは普通のことでしょう。そういう点を考えれば、能力不足の社員に事実を客観的に伝えることは、マネージャー個人任せにせず、組織として対応することも必要でしょう。

 

 会社と社員が対立するようなトラブルは、はじめはごく些細な感情の行き違いが原因ということが少なくありません。だからこそ、悪い評価やダメ出しのような伝えづらいことであっても、客観的事実をもとに組織の立場として本人に伝え、お互いの現状認識を合わせる努力をしておく必要があります。

 

 悪い評価を避けること、伝えないことは、トラブルやもめごとの原因になるということを、肝に銘じておくべきです。

 

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