少し前の話ですが、長崎県の南島原に行ってきました。あるきっかけで知り合った社長さんの経営するIT企業が、縁あって当地に事業所を出すことになり、その開所式に呼んでいただいたからです。
その事業所というのが、廃校になった山あいの小学校分校跡の木造校舎でして、式には市長さんなどオフィシャルな来賓に混じって、ご近所の方々や子供たち、その分校の元先生や卒業生も参加していて、何か心温まるとても良い雰囲気のものでした。
3日間の旅程でしたが、その間地元の事業者の方々と交流したり、視察と称していろいろな場所を見る機会も作っていただき、大変良い経験をさせていただきました。
私は仕事でもそれ以外のことでも、できるだけ直接お会いして、直接お話して、直接現場を見ることの大切さをいつも思っていますが、この時に感じた事もやっぱり同じでした。
農業や地元産品にかかわるお仕事の方々が多かったですが、自分勝手に思っていた「農家」のイメージに反して、若手の「経営者」というのがふさわしい方々が実はたくさんいらっしゃいました。地方ならではの苦労やハンディはあっても、それぞれが工夫し、IT技術など新しいものも活用し、できることから粛々と、でもイキイキと取り組んでいらっしゃいました。
こういう事情は、やっぱり実際に見て、お会いして、お話しないとわかりませんでした。また一度お会いすると親近感もわくし、知り合いということで情も出てくるし、人と実際につながることは本当に大事だと思いました。
ある会社の新入社員の女性から、学生の卒業旅行に関する話の中で聞いたのですが、彼女たちの同世代で特に男子は、「ネットで見ればわかる」とか「日本より不便だからイヤだ」などといって、海外旅行にはあまり行きたがらないそうです。
実際には見ていないのに、バーチャルの世界でわかったつもりになり、それで満足してしまっているということなので、何かとてもマズイ傾向ではないかと感じてしまいます。
確かに直に経験できることには限りがあるし、書物や映像やネットを通じての知識や経験も大事です。
でもやっぱり、それらはあくまで直接の経験を補完するものでしかないということを、あらためて意識しなければいけないのではないかと思いました。
もう一点、ついでと言ってはなんですが、南島原市はとても良い環境のところなので、興味があれば是非訪ねてみて頂ければと思います。企業誘致など産業振興にも、ずいぶん一生懸命取り組まれているようです。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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