お手伝いしている会社の新入社員研修が一区切りつきました。
研修の最終日、新入社員たちは社長から与えられた課題を一日かけてこなします。
その課題が毎年ユニークで、今年は神田明神まで徒歩で商売繁盛のお参りに行くというものでした。(出発点は板橋区です)
・お金は渡された分だけで個々の財布は置いていく
・ルートはナビなど使わず地図で調べる
・携帯は緊急連絡のみ使用する
などのルールがあります。
出発時に封筒を何通か渡され、指定場所で開封することになっていて、その場その場で行う課題が書いてあります。取引先の社長に会いに行けとか、有名店で食事しろとか、絶叫マシンに乗って写真を撮ってこいとかいろいろです。
これらが何を目的にしているかというと、一つは同期の結束を高めること、もう一つは未知のことを経験してみることで人間の幅を広げる、俗にいう「人間力」を高めるということです。
終わった後で感想を聞いてみると、
「こんなに長い距離を歩く経験は初めて」
「都内を歩くのは新鮮な気分」
「徒歩なので同期同士でたくさん話ができた」
「あんなお店には行ったことがなかった」
「今までで一番おいしいと思った」
「苦手なタイプの乗り物だったので、普通なら乗らなかった。(避けたかったけど仕方なかった)」
など、それぞれ刺激があった様子でした。
多くの人から見れば、たわいもない小さな経験かもしれませんが、自分の意志だけで新たなことに取り組む、未体験のことをやって見るというのは、意外にできないもので、特に新入社員は、お金に余裕がないなどの経済事情や、安定志向で冒険しない、ムダと思うことはしないなど、最近言われるような傾向もあるのでなおさらです。
一方、やりたくないけどやらざるを得ないような状況で、「仕方なくやってみたが、思っていたほど大変なことではなかった」「意外に面白かった」などということも多いものです。
また、経験せずに避けたままでいることと、経験した上でのこととは、その後自分が対処のしかたを身につけていく上では大きな差があります。
「まずは経験してみる」ということ、「経験することを恐れない」ということの大切さを、あらためて感じたエピソードでした。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
「カリスマリーダー」は配慮が細かいという話(2024/01/31 23:01)
「うちは特別だから」という会社の話(2024/01/10 22:01)
メリットだけではない「離職率の低さ」(2023/12/06 23:12)
「いつでも機嫌が良い」というリーダー資質(2023/11/01 16:11)
「根気の続かない人」と「融通が利かない人」(2023/10/19 13:10)
このコラムに関連するサービス
当事者では気づきづらい組織風土の問題をアドバイス。同テーマ商品の対面相談版です。
- 料金
- 6,000円
「今一つ元気がない」「何となく一体感がない」など、職場の風土や雰囲気に関する悩みについては、当事者しかわからない事情とともに、当事者であるために気づきづらい事もあります。これまでのコンサルティングで、活気を維持する、活気を失う、活気を取り戻す、という様々な事例、プロセスを見た経験から、会社状況に合わせた原因分析、対策をアドバイスします。(同テーマのメール相談を、より詳細に行うための対面相談です)
このコラムに類似したコラム
問題解決研修 中西 真人 - 研修講師(2013/02/28 18:55)
「スイッチオフ」のタイミングが早い気がする新人さんたち 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2015/04/07 08:00)
新人研修で感じる電話応対の苦手意識 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2013/07/22 08:00)
新入社員のマニュアル主義 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2013/04/08 08:00)
う~ん・・難しい~~気配り! 竹内 和美 - 研修講師(2013/03/28 18:24)