「若手社員に何か良い刺激を与えられないか」というお題を、ある会社から頂いています。要は彼らをやる気にさせて!ということでしょう。
直近新卒3年目くらいまでの若手社員を評する言葉で、いろいろな所からお聞きする話としては、
「指示されるまで動かない」、
「失敗を恐れて確実性が少ないと思う事には手を出さない」、
「良くも悪くもマイペース」、
「素直で言われた通りにやるが、それ以上はやらない」、
「無理です、できませんと平気で言う」、
「内輪では元気が良いが、輪を外れると別人のようにおとなしい」、
「悪気がない世間知らず」、
「礼儀に疎い」、
などなど。
若手社員のみんながみんなそうではないでしょうが、若手社員と関わっている先輩、上司の方々には、一つや二つは「そうだよなぁ」と思い当たることがあるのではないかと思います。
私が最近学生さんも含めた若い人を見ていて、一つ特徴的に思うのは、「目標や目的を持っている人といない人の落差が大きい」ということです。
私自身が10代、20代の頃、目標を持っているなどと人様に言えるレベルでは到底ありませんでしたが、それでも「車が買いたい」、「美味しいものが食べたい」、「アイツよりうまくなりたい」、「試合に勝ちたい」などという気持ちは常にあり、だからバイトもするし、そのために必要な勉強も練習もするし、といった所がありました。目標というより欲求と言った方が正しいでしょうが、それでもゴールに向けて、自分の意志でやりたいと思って取り組んでいたのは確かです。
今どきの10代、20代では、「その年で良くそこまで…」と心から感心してしまうくらい、少なくとも私の周りにはいなかったような、目的意識も意欲も向上心も持っている人に出会うことがあるのですが、その一方で、スポーツをしても「そんなにうまくならなくてもいい」、「別に勝てなくてもいい」という子がいたり、とりあえず将来のためといって、ただ何となく貯金するためだけにバイトをしていたり、別に欲しい物も無いしやりたいことも無い、好きな異性もいないしそんな人は欲しくもないという、目標どころか本能と考えても良いような個人的な欲求すら持っていない人に出会う事があります。
前者の人たちはそのまま何もしなくても伸びていくのでしょうが、後者のような人たち、不景気で先が見えず夢が描きづらいという社会的背景はあるにしろ、「車もブランド品も高級品もムダだから欲しくない」、「食べるものは安ければ何でもよい」、「面倒だから異性とは付き合わなくても良い」、などという人たちにどう向き合っていくかはとても難しい問題です。人のモチベーションを高める手法はいろいろありますが、そもそもの欲求を持たないということは、モチベーションを感じる糸口すらないということですから、小手先の手法でどうこうできるレベルではないのかもしれません。
「答えはその人の中にある」とはよく言いますが、人が変われるかどうかは結局自分次第です。前述のような本当に全く意欲が感じられなかった人でも、ある事をきっかけに大きく変わり、成長していった姿は今までたくさん見てきました。
「ある事」というのは、多くは結婚や出産、肉親や親友の死、恋人との別れなど、自分の人生観に関わるような人生の節目の出来事だったりするので、意図的にコントロールできることではありません。ただそんな事を経験したがゆえに昔言われた事がよみがえったり、その頃にはわからなかった意味が理解できたり、という事はあると思います。
「若手社員への良い刺激」には、そんな人生の節目に備えるというような、長い目も必要な気がしています。(いずれにしても、人材育成には時間がかかるという事ですね。)
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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