「お荷物社員」に見る“協働”と“依存”と“責任”の関係
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バブル期前後に入社した50代の社員が、「お荷物社員」と化していることが書かれた記事を読みました。
私自身はもう会社員ではないですし、“お荷物になることイコール仕事が無くなること”なので、あまり当てはまりませんが、自分の同世代にこういう状況の人たちがいるのは、何とも寂しい気がします。
コンサルティングの仕事を通じていろいろな会社に関わる中で、「高年齢であまり仕事をしない社員」は、残念ながらときどき見かけます。やる気がないのか、力尽きてしまったのか、もう上がりの気分なのかはわかりませんが、比較的業績が安定した中堅以上の企業に多いと感じます。
そもそも“荷物を持ってくれる人”がいなければ、「お荷物社員」は成り立ちませんが、一定規模以上の企業になると、仕事を肩代わりできる人がたくさんいますし、さらに、“荷物を無理やり持たされている人”、“荷物を持つことを拒絶できない人”もたくさんいるでしょうから、そのおかげでこんなことが起こっているのだと思います。
「お荷物社員」に共通していると思うのは、“協働”と“依存”と“責任”の関係を、自分に都合良くゆがめていることです。
「組織での“協働”という名のもとに、多くの部分を周囲に“依存”し、自分の“責任”を回避している」ということです。要するに「自分の責任においては、できるだけ何もしない」ということです。
これは、例えば社長でも、自分自身はあまり働かないという人がいますが、その社長を指して、「お荷物××」と言うことはあまりありません。やはり経営者としてのリスクは取っている訳で、そういう意味では最終的な“責任”を回避できないことを周りがわかっているからだと思います。
こう考えると、「お荷物・・・」というのは、“協働”と“依存”と“責任”の関係が、三拍子そろって初めて起こってくることではないかと思います。
もしそうだとすれば、この三つの関係を崩せば、「お荷物社員」は出てこないということになります。
・“協働”ではない業務分担
・“依存”させない人間関係
・“責任”から逃れられない立場 など。
もちろん簡単ではないかもしれませんが、現場の裁量でも対応できることではないかと思います。
私のように組織に属さない人間は、他に荷物を持ってくれる人がいないので、会社勤めの人と同じ感覚にはなれませんし、正直言って、「お荷物社員」の気持ちはあまり良くわかりません。
ただ、私たちと同じように、自分の不作為が自分に直接降りかかってくる環境ならば、「お荷物社員」なるものは出て来づらいはずです。
「“協働”ではない」「“依存”させない」「“責任”から逃れられない」のいずれかの条件に置かれれば、「お荷物社員」の数も少しは減るのではないかと思います。
「お荷物社員」の存在を嘆いているだけよりは、だいぶんマシではないでしょうか。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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