「行列日本一」と言われていて、予約を取らないことで有名な焼肉店の話が書かれた記事を目にしました。
予約を取らない理由は、以前に店主自身が行ったことがあるお店が、そのようなスタイルだったことからとのことです。
「予約しても時間通りに来ないし、だいたい1、2人が遅れてきて時間通りに揃わないから、予約のために前から席を遊ばせておくのがもったいない」ということで、自分もいつか人気店になることができたらそうしようと思っていたそうです。
芸能人や政治家であっても行列に並んでもらうとのことで、それでも通ってくる著名人がたくさんいるそうです。
店主の言葉によれば、「最近の芸能人は昔と比べて気取っておらず、逆に一般のお客さんより総じて腰が低くて、気取らないのがいいこと」「昔からそうだが、偉そうな客はダメ。飲食店で知ったかぶりしてもいいことはない」とのことでした。
「芸能人は昔から変わらず食通が多くて食べ上手」だそうで、「食べるのが下手な人には、どうせわからないと思って良い品物は出さない」「食通はいろんな意味で得をしている」と言っていました。
私自身も食べることが好きでいろいろな店に行きますが、おいしい物を出してもらうにはお店の言いなりにしていた方が良いのは間違いありません。
たまに調理のしかたや素材のことで、ああだこうだと注文を付けている客を見かけることがありますが、焼肉店の店主が言う通り、そういう振る舞いは損をしていると思います。
目に留まったのは「気取らない」「腰が低い」「偉そうでない」「知ったかぶりをしない」という言葉です。
「気取らない」はたぶん「上から目線でない」「お高くとまっていない」という感じでしょうし、「知ったかぶり」は偉そうな態度の一種だと思うので、どちらも「腰が低い」「偉そうでない」に重なるニュアンスでしょう。
飲食店に限らず、「威張る」「高飛車」「偉そう」といった態度について、私はビジネスの世界でも損をすることが多いと思っています。相手からそう思われてしまうと、前述の店主が「どうせわからないから、良い物は出さない」ことと同じように、本当に最高のものは提供してもらえなくなるからです。それが「金額」なのか、それとも「品質」や「納期」、その他の「サービス」なのか、何が該当するかはわかりません。
私の知人で、自称「交渉上手」という人がいます。ビジネスの中で、何でも相見積、値引き要求、その他一方的な要件で交渉を仕掛け、その態度も威圧的なことが多々あります。
そうやってバトルした結果、本人は「値引きさせた」「安くなった」と言い、うまくいっている感覚のようですが、一方で、その知人と継続的な取引や付き合いをしている相手はほとんどいません。
交渉といってもWin-Winの関係にならない一方的なものが多いので、周りの人たちはすぐに離れて行ってしまいます。たぶん本当に良いものや最高の条件を手にすることは、できていないのではないでしょうか。
先の店主の話に戻って、「最近の芸能人は昔と比べて気取っていない」というフレーズがありました。これも「そういう人柄だから売れる」と言えるでしょうし、特に最近はそんな部分が重視されるようになってきたのかもしれません。
やはり威張って偉そうにしていても大して良いことはありません。また、そういう態度に本人は気づいていないことも多いものです。今一度、自分自身のことも振り返ってみなければなりません。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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