「中小会計要領」~各論その1~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計要領」~各論その1~

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今日から、「中小会計要領」の各論の解説に入っていきます。

 

まずは、「1.収益、費用の基本的会計処理」からです。

 

本文を改めて抜き出します。

 

1. 収益、費用の基本的な会計処理

(1)収益は、原則として、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、 これに対する現金及び預金、売掛金、受取手形等を取得した時に計上する。

(2)費用は、原則として、費用の発生原因となる取引が発生した時又はサービスの提供を受けた時に計上する。

(3)収益とこれに関連する費用は、両者を対応させて期間損益を計算する。

(4)収益及び費用は、原則として、総額で計上し、収益の項目と費用の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない。

 

企業の利益=収益-費用であらわされます。

そのため、収益及び費用をいつ認識して、どの金額で計上するのかが問題となります。

現金及び預金の受け取り又は支払に基づき計上することを現金主義といいますが、この現金主義での収益及び費用の計上は望ましくありません。

そのため、収益については、製品、商品の販売又はサービスの提供を行い、かつ、これに対する対価を受け取った時に収益を認識する「実現主義の原則」に基づいて収益を計上することになります。これを述べているのが本文の(1)です。実務的には、いつの時点で収益を計上するのかについては、法人税法の通達に記載のあるように製品や商品を出荷した時に収益を計上することになります。但し、ソフトウェアの開発会社などのように顧客に納品し検証をしてもらった後で初めて収益を計上することになる場合も見られます。このため、一律にいつの時点をもって収益を計上するのか決められないため、個々の企業の取引の実態に応じて収益を計上すうことになります。

 

一方、費用については費用の発生原因となる取引が発生したとき又はサービスの提供を受けたときに費用を認識する「発生主義」にもとづいて費用を計上することが原則的な考えとなります。このことを述べているのが、本文の(2)です。

 

但し、適正な利益の計算のためには、費用を収益と対応させて計上することも求められてきます。即ち、費用収益対応の原則に基づいて、費用と収益を計上することが求められてきます。ここに、収益と対応させる費用は、主に収益に関連づけられる費用です。例えば、売上に対応する仕入の計上とかをいいます。

また、収益と費用の計上に当たっては原則として総額、すなわち両建てで計上し収益の項目と費用の項目を直接相殺することはできません。これは、総額主義といわれるものです。

 

なお、IFRSの関連でいえば、この総額主義について適切な企業取引の規模をあらわしていないのではないかという疑問もあり、純額主義の流れも一部ではあります。例えば、商社の取引についても実際は仲介業でしかないため、仲介手数料を売上とすべき考えもあります。しかし、にほんでは、取扱量を売上高とし、その商品を一旦仕入として取扱っています。望ましい会計処理はどちらかということは一概に判断できませんが、収益の計上についても、日本の会計基準とIFRSとでは考えに差異があることを理解しておいてください。

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