「頑張ります」と「以後気を付けます」を聞き流さない
-
何か指示をした時に言われる「頑張ります」や、何かミスが起こった時に言われる「以後気を付けます」という言葉は、その会社が持つ風土によっては結構よく出てくる言葉で、努力しようという意気込みや謙虚な反省を表すちょっと美しい言葉なので、そのまま聞き流してしまうことが多いのではないかと思います。
ただ冷静に考えるとそれぞれの言葉には別の意味が隠れています。
「頑張ります」であれば、無理しないと出来ない、出来るか出来ないかわからない、ゴールが見通せない、出来そうもないけど言えない、など。
「以後気を付けます」であれば、自分のせいだけではないけど言えない、言い訳と取られたくない、原因を考えることを止めている、説明するのが面倒、とりあえずその場を取り繕っておこう、などです。またどちらにも、できればあまり話したくない、という心理が潜んでいる場合があります。
私はできるだけ「頑張ります」と言われたら「頑張ったらできるの?」と尋ね、「以後気を付けます」と言われたら「今までも気を付けていたんでしょ?」、「あなたのせいじゃないかもしれないでしょ?」と聞くようにしています。決してプレッシャーをかけたり責めるというニュアンスではなく、現実的にどこまでならできるのか、具体的なミスの原因はどこにあったのかを考えてもらうことが目的です。
改めて尋ねることで相手は必ず考え始めます。こちらに聞く耳があると思えば「ここまでは確実にこなせるがそれ以上は見通せない」、「皆目見当がつかず、やってみないとわからない」などレベルに差はあれ、もう少し具体的な話になってきます。特に「以後気を付けます」の場合は、すでにミスしてしまっている負い目の気持ちがあるので、人を責めない姿勢が大切です。もちろんミスの原因が個人のパーソナリティに起因する時もありますが、チェック機能が働いていなかったり無かったりする場合や、作業が煩雑でそもそも気を付けていないとミスが起こってしまうような場合は、仕組み自体が悪いのかもしれません。
「頑張ります」は目標の到達点を曖昧にし、「以後気を付けます」は、ミスの原因究明を曖昧にしてしまいます。聞き流さずにきちんと事実を確認する姿勢が大切だと思います。また日頃からお互いの信頼関係を作っていければ、このような曖昧な言い方はなくなってくると思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
「管理職になりたくない」の気持ちを変えられるか(2024/03/20 21:03)
有名店の店主がいう「得する客」の話(2024/01/17 23:01)
「厳選採用」とは反対のやり方(2023/12/13 18:12)
身近には意外に少ない「ダメ出ししてくれる人」(2023/11/30 11:11)
「アットホームな会社」とは何なのか(2023/11/15 18:11)
このコラムに類似したコラム
「計画作り」に疲れて「実行」がおろそかになってしまう話 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2022/05/19 07:00)
「複数の目で確かめること」の大切さ 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2020/04/21 08:00)
「夢がない」はいけないことか? 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2020/04/07 08:00)
パワハラが起こりやすい職場の共通点 小笠原 隆夫 - 経営コンサルタント(2015/05/26 08:00)
女性活用について(1)~職場風土の改革が第一 菅田 芳恵 - 人事労務・キャリアコンサルタント(2015/04/24 18:13)