私自身は、いろいろなメディアで原稿を書かせていただく機会があります。たいした文章は書けないにもかかわらず、そういう依頼を頂けるのは、とても光栄なことです。
そんな中で、いつも反省と感謝をしながら取り組んでいることがあります。
先日も、まったく別の媒体で、内容も異なる記事ですが、その文章を確認していただいた担当者から、文章の中に誤解を生むかもしれない表現があるので、それを直してほしいという指摘が、続けて二度ほどあったのです。
一つは目次レベルの確認段階で、もう一つは掲載前のチェックでのことだったので、何か実害があったわけではありませんが、手間と迷惑をかけたことには変わりはありません。
このときに指摘された内容は、それぞれ自分としても表現の仕方をいろいろ考えて迷った結果として、このくらいの表現なら問題はないだろうと自己判断をしていたところでした。
私が何か文章を書くときに、常に心掛けているのは、見えている事象だけでただ一方的に批判したり、誰かを傷つけるような言葉であったり、不快な感情を抱かせてしまうような表現であったり、そういうことは絶対に避けようということです。
しかし、その自分の判断基準だけでは、読む人によっては十分ではなかった訳で、誰かから指摘されて初めて気づいたということです。
私のように組織に属さず、個人ベースで仕事をしていると、自分の身の回りのことは、すべて自分の判断で決めていかなければなりません。常に見てくれる人がいる訳ではないので、誤りを指摘してもらったり、意見を聞かせてもらったりする機会は、意識的に求めでもしない限りはありません。
自分なりに意見や指摘を求めていかなければなりませんが、そもそも意見を求めるかどうかの判断も、結局は自分で決めますし、自分だけの判断は、慣れなどによってどうしても甘くなりがちです。
これが会社などの組織に属していれば、一つの仕事を他の誰の目にも触れさせずに完結させるようなことはまずあり得ません。よほど不正なことでも考えない限り、そんな行動はできないでしょう。
会社組織の中では、一つの仕事を複数の人の目で確かめ合ったり、考えを述べあったりすることができます。組織で仕事をすることが当たり前になっている人にとっては、逆にそれが面倒だったりするのかもしれませんが、そのおかげで個人の甘い判断が正されたり、誤りを見つけることができます。
「複数の目で確かめること」は、個人の仕事の質を保つためにも大切なことです。
せっかく組織に属しているならば、お互いの仕事を「複数の目」で確認しあうことを嫌がらずに、他人の仕事にも関心を持ち、個人で仕事をしていて「複数の目」が身近にないならば、なおさらそれを自分で意識して行動しなければならないと感じた一件でした。
このコラムの執筆専門家

- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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