メンタルヘルスの専門家にうかがうと、自分の心の不調について、それに気づけるかどうか、まずは自己管理が大切だと聞きます。風邪気味など体調が悪いと感じた時に早めに休もうなどと考えることと同じだそうです。私も程度の差はあれメンタルダウンしてしまった方への対応は多々経験していますが、自分で早めに気づき、自己管理する術をつかんでいった人ほどその後の経過は良いように感じます。
よく真面目で責任感が強い人ほど心の不調に陥りやすいと言われます。何でも自分で抱えてしまったり、自分を責めたりする傾向が強いからのようです。
しかし冷静に考えれば、例えば指示された仕事がうまく進められなかったとしても、それは指示された側だけの責任ではなく、相手の能力、性格、その他状況を適切に判断せずに業務指示をした上司の側にも責任があります。「そんな考え方ができないからメンタルダウンに至ってしまうのだ」という言い方もありますが、自分だけで責任を背負い込まない思考パターンを日頃から訓練することは、心の自己管理の一環になります。
出来ることは出来る、出来ないことは出来ないとはっきり伝えることも必要になります。ただし一方的にただ出来ないと言うだけでは自分の評価に関わりますし、場合によると今度は上司の方がメンタルダウンしてしまうかもしれません。
ここまでは出来るがこれ以上は出来ない、こんな支援があれば出来る、こんな環境が作られれば出来るなど、条件を提案しながら話す習慣づけも心の自己管理につながります。
心の病気はそれほど単純に解決できることではありませんが、自己管理する術を知り、それを意識して習慣づけていく事で、予防や早期発見につながる余地は大いにあると思います。人それぞれのやり方になるのでしょうが、自分なりに「心の自己管理」を考え、日頃から取り組んでおくのが望ましいと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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