いくつかの企業で新人研修をお手伝いしています。最近よく言われることで、新入社員など特に若手社員が、何でも決められたマニュアルに頼ってしまう「マニュアル主義」という話がありますが、実際の新人研修の中でも、こういう場面には結構遭遇します。
実際に複数の会社であったことですが、例えばビジネスメールの書き方の演習で、課題に応用できそうな文例を探したまでは良いのですが、その文例が想定している内容と、実際の課題での内容の違いをあまり考えずにそのまま使ってきたりします。
演習課題は「顧客打合せのスケジュール調整」の文面なのに、たぶん顧客に向けた御礼メールの文例を参考にしたのか、最後に「取り急ぎ御礼まで」なんて書いてきます。
このあたりを指摘すると、すぐに気づく人もいますが、中には「えっ・・・、だって文例にはこう書いてありましたけど・・・?」という様子、クエスチョンマークいっぱいの顔でキョトンとしている人もいます。「マニュアルに書いてある通りにやったのにダメなんですか?」という感じです。(もちろん、もう少し説明すれば、きちんと理解してくれますが。)
これにどうやって対処していくかは、なかなか悩ましいところです。
一つの方法として考えられるのは、徹底的にマニュアルを整備するということです。パート雇用が多いサービス業などはこういうやり方を取りますが、最近はマニュアルに頼りすぎる弊害もあるようですし、他の業種だったり正社員だったりということであれば、何でもマニュアル化というのはたぶん現実的でないと思います。
では実際にどうするかといえば、結局は何かあればその都度指摘して、少しずつ覚えていってもらうしかないと思います。
「マニュアル主義」というと、初めは聞こえが悪い気もしますが、決まっていることをきちんと受け入れることができる素直さがあるともいえます。また、自分の中で一度ルーチン化することができれば、後は的確にできる、一度覚えれば忘れないという特性もあります。
初めは手がかかるし、ついつい「こんなことまで言わないとダメ・・・?」なんて思うこともあるでしょう。でも「マニュアル主義」の特性から見れば、初め軌道に乗せるところ、一度身につけるところまでの辛抱で、そこさえ乗り越えれば、少なくとも与えられた仕事はきちんとこなせるようになるはずです。
一言言いたい気持ちは「初めは誰でもそんなもの」と割り切って、根気よく指導を続けて頂ければと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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