あるコラムに「最近の若手社員は会社の電話を取りたがらない」という記事が出ていました。メールなど他の連絡手段が普及し、会社にかかってくる電話の本数自体が減ってきて、会社のマナー研修でもあえて電話応対を取り上げないところも出てくるなどした結果、会社の電話に出るのは、その大事さを新人時代に厳しくしつけられた30代の中堅社員ばかりになってしまっているのだそうです。
私は新人研修などを通じて電話応対を教えたりすることがありますが、最近の新入社員は、電話応対に対する難易度をすごく高いものと捉えていて、とにかく苦手意識があるように感じています。
実際の研修の場面でも、一言一句漏らさず一生懸命メモしていて、まるで台本を作っているようであったり、セリフ棒読みで会話としてつじつまが合っていないなど、もはや電話応対とは言えないような状態から始まることもあります。
しかし、これもよく考えれば当然のことで、今の新入社員世代は、電話をするにしてもほぼお互いの携帯電話同士でしかかけないので、そもそも電話応対そのものをした経験、他人にかかってきた電話に出るなんていう経験自体がほぼありません。
かつては家にある電話で、家族の誰かにかかってきた電話を取り次ぐ経験を当たり前のようにしていたので、研修でやるのは言葉遣いや聞いておくべき用件、伝言のしかたなどで良かったのですが、今は本当に一からすべてを教える必要があります。セリフの棒読みはやむを得ないでしょうし、ちょっとアドリブを入れたりすると、もう何を話していいのかわからなくなってしまいます。
そうは言っても、その新入社員たちは今、きちんと電話応対をしています。スタート時点はひどくても、できるまで時間がかかったとしても、教えればできるようになっています。緊張もせずに普通にできるようになっているので、電話を取りたがらないなんてこともありません。
こう考えると、やっぱり相手のレベルに合わせた教え方と、無理矢理でも最初に一歩を踏み出させて、経験させる中で慣れさせてしまうことが大事だと思います。経験させる機会やタイミングを逸してしまうと、「電話に出たがらない」などと同じようなことが、いろいろ出てきてしまうように思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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