不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【25:角地緩和が使えない角地】
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不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴
【不確定な契約条件の注意点/角地緩和(建蔽率10%アップ)が使えない角地⑤】
今回は、建蔽率の角地緩和が利用できる土地でありながら、
緩和(建蔽率10%アップ)の利用が意味を成さないケース、
また、別の縛りで結局利用できないケースをご紹介します。
今までにご紹介した建蔽率適用の要件をクリアした物件であっても、
建物の建築には様々な法規制が絡んできます。
現行法ではないものでも、将来的に都市計画決定され、
建築に影響を与える場合もあります。
まずは、地区計画による制限です。
地区計画とは、まちづくりの全体構想を定め、
その地区の目標や整備、開発、保全の方針を定めたものです。
良く見る制限の内容には、容積率、建蔽率、高さ、壁面後退、
意匠、緑化などへの制限をかけていることが多いです。
画像にあるのは世田谷区のある地区計画の制限内容です。
もともとの建蔽率は60%で、本来、角地なら70%が適用できる地域です。
しかし、地区計画によって40%までと制限されていいます。
緑化基準などの要件を満たせば40%以上適用できますが、
50%までや、角地でも60%までです。
角地であっても、70%(10%アップ)が利用できる訳でなく、
もともとの建蔽率と変わりません。
この地区計画での制限は、現行であれば契約時に説明されたり、
建築プランを検討した際に分かり、実際の建築可能なボリュームも
でてくると思います。
地区計画で注意したいのは、今は制限などないが、
将来的に都市計画決定される可能性がある地域です。
例えば、地区計画内でも制限のあるエリアと無いエリアに
分かれていることもあります。
参考プランを作ったときに制限が無ければ、+10%で図面を
引くでしょうが、一応は同じ地区計画区域内なので、将来的に
制限がかかってくる可能性はあります。
また、現在は地区計画までなっていないが、
ルールづくりを地区関係者とともに検討して、
将来的に都市計画決定させていこうと動いている
地域もあります。
このように、現行法としてかかっていない制限は
説明をされなかったり、購入判断に問題がありそうと
思われれば意図的に隠されることもあるかもしれません。
建築プランにも、将来的な制限までを考慮した
建替えプランの図面ではないので、今現在ない制限や規制は
反映されません。
地区計画は住民の合意に基づいて計画されていくものなので、
将来的に定めていく動きをしている地域かどうかの確認にも
注意が必要です。
次に、風致地区による制限です。
画像にあるように、建蔽率、高さ制限、壁面後退御と、
地区計画に似た制限があります。
ここでも、40%まで制限さています。
そして、建蔽率もそうですが壁面後退もあります。
概略図のような整形地でなく、
例えば、幅7m、奥行10mの縦長形状の敷地70㎡の土地の場合、
制限通り建物壁面を、道路側2.0m:他の部分1.5m、境界から離して
建築しようとすると、建築出来るスペースはMAXでも26㎡という
ことです。
70㎡の敷地に対して建蔽率が40%(28㎡)におさえられていますが、
壁面後退によって、実際は26㎡まで更に制限されているということ
になります。
狭い土地なら加味して道路側1.5m:他の部分1.2mに緩和するなどの措置も
取っているケースがあるようですが、許可申請が必要なことなので、絶対ではない
ですし、敷地の形状によっては、やはり建築面積がほとんどない状況にもなります。
前回までの建蔽率適用の要件が整っていても、他に建蔽率に触れている規制や、
直接的でなくても、壁面後退による建築スペースの制限など、定められた建蔽率の
利用を不可能とする間接的な要因はないか、注意が必要となります。
直接的でなくても、建築スペース、建築可能なボリュームに関する続きを、
エスクロ―ブログ中でご紹介していますので、そちらも参照して下さい。
http://ameblo.jp/adcast-escrow/entry-11433836819.html
次回は、角地緩和の利用ができない実例の話です。
尚、建築可能な建物の規模に関しては、斜線制限・高度地区・日影規制等により
建築制限を受け、角地緩和の利用未利用に限らず1割増の建蔽率利用が出来ない
場合がございます。特定の敷地に対する建築可能な建物規模については、
建築士等の専門家との打ち合わせが必要です。
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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