建築工事に関して、一般に建築の知識のない方が、その工事が契約書どおりに行われているかどうかを判別することは難しいと思われます。そして、もしも、工事が契約書どおりに行われていない場合、紛争となることも少なくありません。
その紛争も、契約書との相違が大きければ大きいほど、事後処理も複雑になります。
ここでは、最近、弊社に依頼のあった、比較的大きな紛争の事例を紹介いたします。
場所:東京都
計画建物:木造3階建 約120㎡(約36坪) 4LDK
工事会社:地元から少し離れた工務店
工事費:2,380万円(消費税別:坪単価 約66万円)
以上の請負契約に関する紛争の相談を、建築主から受けました。現在、代金の支払いは全て完了し、引渡しも終え、新築の住宅に入居して3か月を経過してから、問題が発生いたしました。
調査の結果、その問題の骨子は以下のとおりです。
1.地盤改良工事が行われていなかった。約220万円で契約書には見積もられていた。
2.建方工事(柱、はりなどの建物の骨組みを造る工事)が、契約書では、全て無垢材の指定があったが、一部、壁を壊し調査したところ、殆どが集成材(どこかの工事で不合格品となるような廃材に近い材料)で造られていた。尚、見積金額は約300万円であった。
調査の結果を相手方工務店に伝えたところ、相手方工務店は居直り、「それでは、地盤改良工事費約220万円と建方工事代金約300万円、合計約520万円返金するから、それで解決して欲しい」との申し出を受けました。売買契約であれば、それでも良いのかもしれませんが、地盤と骨組みという、建物の寿命を左右する最重要部分に手抜きをしたのであるから、我々は工事費全額の返還に加え、当該建物の解体費、新たな住宅が完成するまでの期間(4か月)の住宅ローン金利、建物の登記費用などを請求する旨、相手方工務店に伝えてあります。
このまま話が平行線になれば、裁判所または建設工事紛争審査会(国土交通省又は各都道府県に設置されています)に訴えを起こすしかなく、依頼主には相当な負担がかかってしまうことを危惧しております。
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