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不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【28:角地緩和が使えない角地】

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物件購入の落とし穴 不動産購入トラブル

不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴

【不確定な契約条件の注意点/角地緩和(建蔽率10%アップ)が使えない角地⑧】

 

今回は、建蔽率の角地緩和が利用できない編の最後となります。

これも実際にあった案件です。

 

まず、画像には販売図面と現地、公図、道路位置指定図を掲載してあります。

 

この地域は本来建蔽率60%の地域ですが、

販売図面では、建蔽率は角地緩和を適用した

70%が記載されております。

 

現地の様子も図面通りの角地となっています。

 

公図では、本地が518-20、隅切り部分が518-6となり、

隅切り部分(518-6)は第三者所有となります。

 

前回と似た状況みえますが、隅切りが第三者所有ということは

良くあります。

 

問題となるのは、隅切り部分が建築基準法上の道路かどうかという点です。

 

それを、位置指定道路(1項5号道路)の場合、画像のような位置指定図で

確認して判断します。

 

よく見る位置指定道路(1項5号道路)は、今回と同じように突き当たりの形状で、

幅員は4mのものが多く、隅切りが当該道路の両サイドにあり、隅切り部分まで

建築基準法上の道路として、申請・築造されているものが多いです。

 

そのことから、現地の様子(両サイド隅切り済みで側溝も有)や、

位置指定図(両サイド隅切り状の地籍図)から、通常の位置指定道路と

宅建業者や営業マンなども勘違いしやすい案件です。

 

しかし、その道路位置指定図では、「道路となる土地の地名地番」に

本地側の隅切り部分の地番、518-6がありません。

 

今の公図と若干、地番や形状は違いますが、当時から518-6は同様の

土地形状と地番で存在していた部です。

 

隅切部分は、建築基準法上の道路(1項5号道路)扱いではなく、

単なる第三者所有の敷地扱いとなります。

 

但し、建築確認では角地扱いとなり、建蔽率60%の地域でありながら、

70%で許可が下りてしまっています。 ※画像2参照。

 

これは、建築審査上では所有者などは確認していないので、

建築士や設計士、売主の業者などが気付かずに申請すれば、

その通りに通ってしまうことがあるからです。

 

この場合、建替え時や売却時などに調査した際、

角地でないことが判明して同規模の再建築ができなかったり、

資産価値が目減りして売出し価格に影響するトラブルが

起こる場合があります。

 

この行政に確認したところ、やはり気付いてはいませんでしたが、

建替え時も角地緩和が利用できるか、間違った許可を下している

責任は行政(建築主事)などにないか問いただすと、

 

「地番:518番6は、北側のセットバック予定の範囲以外は

建築基準法上の道路でない部分となりますが、セットバックする際、

区へ譲地する予定でいると話をしていること、現況が道路状の形態に

築造済みであること等を理由として、区建築基準法施行細則第45条

に基づき、本物件は角地緩和(建ぺい率のプラス10%)を適用できる

敷地と扱います。」とのことでした。

 

 

建築基準法施行細則第45条とは以下の文面です。

 

(建蔽率の緩和)

第45条 法第53条第3項第2号の規定により区長が指定する敷地は、

その周辺の3分の1以上が道路又は公園、広場、川、その他これらに類するもの

(以下この条において「公園等」という。)に接し、かつ、次に掲げる敷地のいずれかに

該当するものとする。

(1) 2つの道路(法第42条第2項の規定による道路で、同項の規定により道路境界線

とみなされる線と道との間の当該敷地の部分を道路として築造しないものを除く。)が

隅角120度未満で交わる角敷地

(2) 幅員がそれぞれ8メートル以上の道路の間にある敷地で、道路境界線相互の間隔が

35メートルを超えないもの

(3) 公園等に接する敷地又はその前面道路の反対側に公園等がある敷地で、前2号に

掲げる敷地に準ずるもの

 

 

つまり、隅切り部分の所有者は、その部分をいずれ区にあげるし、

現況も道路状なっているので、その他これら(道路又は公園、広場、川)に類するもの

扱いし、角地として緩和して良いことにしますという、結構、無理やりな理由で緩和が

正当化された物件です。

 

 

しかし担当者は、

「地番:518番6 は第三者所有の土地である為、譲地予定や現況状況(道路形状)に

変更が生じる場合も当然あり、将来、再建築の際に当該角地緩和の適用ができない

場合も可能性としてはございます。」

と付け加えていました。

 

やはり、その物件本来の価値を間違わないよう、自身での注意も必要ということです。

 

尚、建築可能な建物の規模に関しては、斜線制限・高度地区・日影規制等により

建築制限を受け、角地緩和の利用未利用に限らず1割増の建蔽率利用が出来ない

場合がございます。特定の敷地に対する建築可能な建物規模については、

建築士等の専門家との打ち合わせが必要です。

 

 

※画像が見づらい場合は、エスクローブログ中でご紹介していますので、そちらも参照して下さい。

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