不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴
【角地緩和(建蔽率10%アップ)が使えない角地③】
引き続き建蔽率の緩和が利用できない、角地のケースです。
前回では、接道している部分の長さについて解説しました。
今回は、「角地の角度」と「道路の幅員」についてです。
まず、角地緩和が受けられる角度として、良く見受けるパターンは
『内角120度以下の2つの道路によってできた角地』です。
これ以上に角度が大きい角地は、角地として扱われないことが多いです。
120度以下の場合、都内では「東京都建築安全条例」によって、隅切りが
必要となります。
隅切り部分は、建築対象面積に算入(建蔽率、容積率を算定する際の敷地面積)する
ことはできます。但し、道路としての利用に限られ、植木、工作物、建築物等の設置、
駐輪及び駐車などを行うことは出来ません。
しかし、この内角120度以上の場合、隅切りは交通の安全に支障がないときに限り
行わなくてもよくなります。
但し、現状の敷地として若干広く使えますが、建物への建蔽率緩和(角地緩和)は
角地扱いでなくなるので、利用できなくなります。
・内角120度以上の角地:角地緩和使えない / 隅切り不要
・内角120度未満の角地:角地緩和使える / 隅切り必要
といった関係になります。
ちなみに、都内での隅切りに関しては、どちらか一方の幅員が6m以上の場合は、
隅切りは不要となります。
次に、幅員です。
隅切りが必要となる条件もそうですが、
道路の幅員が何メートルかによって、角地緩和が利用できない場合があります。
各自治体の条例などによって決められていることがあり、都内ではあまり聞きませんが、
各幅員が6m以上とか、その和が10m以上でないとダメという地域もあります。
また、前回解説した接道の長さも、地域によっては敷地周囲の延長の4分の1以上で
良い地域や、3つ以上の道路に接道している角地の場合は4分の3以上必要とか、
地域によって様々です。
角地の物件で、角地であることの緩和を受けた建物プランを検討する場合、
その物件の『地域別の角地緩和の適用要件』をしっかり確認することが大切です。
これが出来ていない不動産業者は結構多いと感じますから、購入者自身、
注意が必要です。
ポイントとしては、測量図等の図面を持参し、役所の建築審査課などで、
物件を特定し確認することです。
その際、接道の長さ、敷地の周長、角地の角度、幅員など伝えた上で
角地緩和が利用できる敷地形状なのか確認しましょう。
次回は、所有権(財産境)部分への接道状況で変わる、角地緩和利用の可否です。
かなりマニアックなテーマで、十数年不動産業に携わっているものでも、
理解しづらい内容かもしれませんが、調査してみると、気付かずに
角地緩和できるとしている間違った物件を発見することも実際あります。
是非、読んでみて下さい。
尚、建築可能な建物の規模に関しては、斜線制限・高度地区・日影規制等により
建築制限を受け、角地緩和の利用未利用に限らず1割増の建蔽率利用が出来ない
場合がございます。特定の敷地に対する建築可能な建物規模については、
建築士等の専門家との打ち合わせが必要です。
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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