なぜパワハラが増えているのだろうか・・・
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パワハラに関する労働局への相談件数が、年々増えているのだそうです。
ある統計ではこんな感じでした。
●労働局へのいじめ・嫌がらせに関する相談件数
統計年度 件数
H14年 6,627件
H15年 11,697件
H16年 14,665件
H17年 17,859件
H18年 22,153件
H19年 28,278件
H20年 32,242件
H21年 35,759件
H22年 39,405件
しかし、これってなぜなんでしょうか? 今まで隠れていたものが、表に出てくるようになったのでしょうか。それともホントに増えてきているのでしょうか。
もし増えているとすれば、理由は何でしょうか? 居心地を悪くして体よく辞めさせるため? 性格の悪い人が増えた? 教育の問題?・・・・。 全部それなりに当てはまるのでしょう。
でも働く場の環境としては不幸な事ですよね。当事者にも会社にも、また業績をはじめとしたすべての事柄に関してプラスに働くわけがないですから・・・。
私自身、明らかにパワハラと言えるような事象を身近で直接見たことはありませんが、最近接するいろいろな会社の様子を見ていて、少しだけ思い当たることがあります。
まず、現場社員から「それってパワハラじゃないの」という言葉を聞く頻度が増えました。中身をよく聞くと、上司部下の間ではありがちと思えることも多く、お互いの信頼関係ができていれば問題視されなくて済むのでは、というようなことです。上司から頭ごなしに言われるようなことは昔からあったと思いますが、以前は「上下関係なんてそんなもの」と片づけられていたことが、今のフラットな上下関係が当たり前で育ってきた人にとっては、すごく違和感があるおかしなことと捉えるようです。
二つ目に、これは上司の側も部下の側もそうなのですが、自分の都合を一方的に主張する人が増えたように思います。相手とのつながりが薄いとか、相手が自分より弱い立場と見ると、その度合いがさらに強まるようです。クレーマーとかモンスター○○という人とも少し重なって見えます。パワハラの典型的なケースや深刻なケースは、この場合の極端なものなのかもしれません。
三つ目には、やっぱり対人関係での見切りが早いかなぁということ。誰でも自分の感覚と合わない人や自分が嫌な事は避けたいし、我慢することが良いとも思いませんが、お互いロクにやり取りもせずにあきらめていたりするので、「ちょっとこらえ性がないかな」と思ってしまいます。
こんな傾向があるのだとすれば、パワハラという問題が増えて来ることはあり得るでしょう。
どうも上司部下の距離感のつかみ方、要は人間関係の作り方が下手になっているように思います。
特に上司の側は、自分に権限があるので、どうしても自分に甘く判断しがちで、お互いの信頼関係不足や説明不足、その他自分にも原因があることを棚に上げて、「これくらいは良いだろう」「これくらいは許されるだろう」と思ってしまいがちですが、部下の側は、「そんなこと許せない」「そんな気安い関係じゃない」と思っていたりすることも多いようです。本当に深刻なケースがある一方で、こんなちょっとした距離感認識のずれが、パワハラといわれてしまっていることもあるのではないでしょうか。
最近は逆パワハラといって、部下が上司をいじめるということもあるそうですが、多くの場合は力関係の上で立場が強い上司の自分勝手になりがちでしょう。部下との距離感がつかめず、また人間関係を作ることをサボって、一方的に権威で押さえつけようとしているところがあるのではないでしょうか。
ちょっとしたコミュニケーション不足と、それを放置しているということがこんな数字につながっているのだとしたら、とてももったいない事だと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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