上がったものは下がる～NISAにこだわりすぎないで～

7月の中頃、

NISAの積立投資枠を使って計画的に資産形成をしている方から

「現在の株式相場について、どのように思われますか。」

という相談を受けました。　私個人の意見と前置きをしたうえで、

「現在の株式相場は上出来すぎるように感じる。」

とお答えしました。　

国は最低賃金を必死に上げようとしていますが、

その裏では企業の倒産が相次いでいます。主要調査会社2社の調査によると、2024年上半期でおよそ4900件です。東京の丸の内や大手町といった日本屈指の一等地を持っている2つの上場不動産投資信託が10年前と同じような価格で売買されていました（7月下旬時点）。それなのに、7月11日には日経平均株価が42,000円を突破し史上最高値になりました。世の中が不景気なのに株価だけが上昇しているように感じたので、相談者が楽観的な考えをお持ちであれば水を差した方がよいと感じました。　

8月2日から5日にかけて、

日経平均株価は2日間で17.5％、6,667円91銭下落しました。現在は38,000円台で、8月1日の株価とほぼ同じ水準になっています。今回幸いであったのは、株価が暴落が一時的なものだったことでしょう。投資初心者の方の中には、びっくりして狼狽売りされた方もいらっしゃるかもしれませんが、冷静に企業の分析をしている投資家は、割高だった株を買うチャンスがやってきたと大喜びされたことでしょう。　

投資初心者の場合、

手数料の安い優良な投資信託を、ネット証券で毎月長期間積み立てることを勧められることが多いでしょう。大きくふやすことを夢見て、あまりよく調べもせずに個別株をNISAで購入してしまうと、損益通算ができないので、株価が下がり続けても損切りできずにズルズルと持ち続けることになりかねません。　NISAと特定口座の両方の特性をよく理解した上で、投資をするようにしましょう。