素直すぎるマネージャーと頑固すぎるマネージャー
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世の中には素直な人も頑固な人も、いろいろいると思います。
それが自分の部下や後輩だったとしたら、やっぱり頑固な人よりは素直な人の方が良いと思うのではないでしょうか。ただ、これがマネージャークラスとなってくると、必ずしもそういう評価だけではないように思います。
私も多くの会社でいろいろな方々とお会いしますが、その中には若いメンバークラスの方も経験豊富なベテランの方もいらっしゃいます。
ここで感じるのは、やはり年令が上の人の方が、頑固な傾向が強いということです。あまりにも聴く耳を持っていないのは困りますが、人生経験を積むほどに自分のこだわりが強まり、自分なりの考え方が固まり、頑固さが増していくのは自分自身に照らしてみてもわかる気がするところです。
マネージャークラスくらいの人となれば、程度の差はあれ、こんな傾向の人が多いのではないかと思います。頑固すぎるマネージャーは、組織の中ではそれはそれで問題があるので、個人の意識も含めて気をつけなけれなならないところだと思いますが、これまでの人生経験に基づく良い意味での頑固さならば、それは決して悪いことではないと思います。
これとは反対に、素直なマネージャーというのは、実際に見かけることは少ないように思います。マネージャーを担う人たちの年令や経験を考えれば、それも当然なのだと思いますが、やはりそれでも出会うことはあります。
素直なマネージャーというと、一見よさそうに見えますが、実は困ることが多々あります。それは、上司に対しても部下に対しても優柔不断で、自分では決めようとしない傾向があるということです。
例えば上司として何か指示をすると、「わかりました!」といい感じで受けていきますが、そこから先には、なかなか進んで行きません。
「部下からこんな意見が出た」「こんな反発があった」などと言って、「どうしましょうか・・・」などと相談をされます。それに対して提案したり指示したりすると、その時は明るい顔をして受けていきますが、しばらくするとまた違う話を持ち帰ってきます。
上司と部下の板挟みになる中間管理職なので、仕方がない部分はありますが、この素直なマネージャーの一番の問題は、その場その場で相手の言うことを素直に受け入れるだけで、自分の意志を持って物事をまとめるということを、一つもしていないということです。
これが新人クラスの一般社員であれば、上司は自分より上の立場の一方向にしかいませんから、そこに対して素直に対処することで、特に問題が起こることはありません。
しかしこれがマネージャーとなれば、自分の上下両方向に関係者がいます。この間に立つということは、当然調整能力が必要となる訳ですが、「素直すぎるマネージャー」は、それぞれの話を素直に聞いてそれぞれの話に共感してしまうため、この調整ができません。
人間性として、素直というのは良いことだと思いますが、組織のマネージャーという役割を考えると、すべて受け入れてしまうような素直さは考えなければなりません。
素直も頑固も、偏りが大きすぎるのはどちらも良いことではありませんが、マネージャーという役割から考えると、素直すぎるというのは、なかなか厄介なように思います。
「素直になるな!」とはなかなか言いづらいですが、マネージャーである限り、最低限の頑固さは必要のように思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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