トリンプインターナショナル元社長の吉越浩一郎さんのお話をうかがう機会がありました。
ご自身の経験を踏まえた、ワークライフバランスの考え方、効率的な仕事術のヒントのようなお話でした
良いお話がたくさんありましたが、特に印象に残ったことを一つだけ・・・。
「仕事の対極は?」という質問をしたときに、欧米人は「遊び」と答え、日本人は「休み」と答えるのだそうです。
それはなぜかと言うと、仕事に自分の能力をつぎ込んでいる人は「遊び」といい、体力をつぎ込んでいる人は「休み」というのだそうで、日本人は、長時間の残業がプライベートな時間どころか睡眠時間にまで食い込み、体力的に疲弊してしまう働き方が多いために、こういう違いになっているということでした。
整理するとこんな感じです。
○仕事の対極が「休み」という人のスパイラル
体力をつぎ込む(残業が多い)→睡眠時間に食い込む→週末の寝ダメ
→倦怠感(サザエさんシンドローム・・・日曜夕方のサザエさんを見ると休みが終わりだと憂鬱になる)→「あーあ、もう月曜だ・・・」
○仕事の対極が「遊び」という人のスパイラル
能力をつぎ込んで効率的に働く(自分の時間がある)→体力は温存されている
→週末に遊ぶ元気がある→「さぁ月曜だ!」(そこまでいかなくても「まぁやるか・・・」)
このスパイラルが一週間単位だけでなく、職業人生すべてを通しても同じようになってしまうともおっしゃっていました。
今まで仕事にずっと体力をつぎ込んできたので、定年後は「遊びたい」ではなく「休みたい」、「本生」ではなく「余生」と思っていて、いざ定年になると何をして良いかわからない、それまで遊ぶことに時間を使っていないので、いざ時間ができると何にもできない、のだそうです。
「体力を温存して能力を発揮する効率的な働き方が非常に重要である」ということで、また「ただ単に早く帰るのでは会社の仕事は成り立たない、残業せずになおかつ今まで以上の成果を上げなければならない」ともおっしゃっていました。
ワークライフバランスというと、どうも仕事時間を減らすことばかりに偏っていて、本来あるべき姿である「仕事時間は減らしてもそれまでと同等かそれ以上の成果を上げる」ということが忘れられがちになっている気がします。労働時間数がなかなか減らない大きな原因であると思います。
自分なりに意識はしていたものの、「効率的に仕事をする」ということが、自分の人生にとっても大事だと改めて思えるお話でした。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
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