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八納 啓造
ヤノウ ケイゾウ
(
建築家
)
株式会社G proportion アーキテクツ 代表取締役
082-207-0888
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【コラム】長持ちする家とはどんなものか?
-
メルマガ「住むひと全てが幸せになる家造り」
2010-02-12 08:00
前回まで「お金が残る家とは?」という話をしました。そして現在の
日本の家のほとんどが耐久消費財として造られていて、20〜30年
くらいで建替えるのを前提にされているということも話しました。
既に家を建てた方はショックを受ける部分もあるでしょう。でも、今
お住いの家を長持ちさせる意識と知識があればそれは十分補えると考
えていますので一緒に見ていきましょう。
長持ちする家について具体的にお話しします。
長持ちする家とは、最低50年を基準にしてメンテナンスをしていけ
ば、100年ぐらいは十分持つ家のことだと理解してください。
最近は200年住宅、長期優良住宅という言葉も聞くようになりまし
たが、これらも、長持ちする家が今の日本に必要だという考えから出
てきたものです。
今後は、税制面などからも優遇も広がっていくでしょう。
※実際、私も現在長期優良住宅の設計に取り組んでいます
話を戻しますね。この長持ちする家ですが基本的に重要なのは
1湿気具合など周辺を含めた立地条件
2メインの構造体がどの程度耐久性があるか?
3設備を入れ替えることが可能か?容易か?
4手入れがしやすい材料&素材か?
などになってくるでしょう。
1の立地条件ですが、これは思っている以上に影響力はあります。
例えば、いつも水はけが悪い地域の場合は、湿気やすいので、構造
体に対する影響力やカビの発生などが気になるところです。出来る
限り、乾いた地域に家を建てるのがベターですが、最近は除湿器な
ども性能があがってきているので、湿気などが気になる部分には手
を加えるといいでしょう。もし、湿気ている地域に家を建てている
場合は、こまめな換気をすることが重要になることを覚えておきま
しょう。
2の耐久性について。
これは、構造体に使う木の材種にもよるところがありますが、個人
的にもっと大切なのは「壁の中が湿気無いかどうか?」だと考えて
います。木が一番弱いのは湿気です。湿気で木が腐り、構造体が
駄目になるのが一番ダメージが大きいです。またシロアリも大敵
です。シロアリは湿気が好きというふうに言われていますが、そう
とは限らないようです。シロアリは地域性や近くに巣があるのが
一番大敵なようです。シロアリに関しては、床下を定期的に見れる
状態になっているか?が1つの予防線になるでしょう。床上でシロ
アリを発見した時には、土台まわりが駄目になっているということ
もありますので、面倒くさいように感じるかも知れませんが、定期
的に床下をみることをお奨めします。
3の設備に関して。
日本の家の平均寿命をグッと下げている1つがこの設備です。
この数十年で、お風呂、キッチンをはじめ多くの設備機器が目まぐ
るしく変化しました。お風呂のサイズも大きくなり、キッチンや電
化製品も増えた為、間取り的にも対応しにくくなったこともありま
すし、設備だけを単純に取り替えることが出来ないことが大きく
影響しています。現在の設備のスペックは今後、ライフスタイルが
変化してもスペース的にはそんなに変わらないでしょう。しかし、
設備機器の取り替えサイクルは20年くらいになりますので、その
時の取り替えやすさは、20年後の維持メンテナンス費にもはね帰
ってきますので、例えば、床下に入りやすい構造にする、設備配管
をやり変えやすいようにするなどの工夫がポイントになるでしょう。
このあたりはちょっと専門領域になりますので、これから家造りを
考えている人は、設計士や工務店や営業マンに将来の取り替えやす
い方法にしたい、と伝えると良いでしょう。
4に関して。
「家はフリーメンテナンスにしたい」と思っているのは日本ぐらい
のものだという話を前回軽く触れましたが、家を長持ちさせるコツ
は、こまめに手入れをすることに尽きます。欧米では、築70年や
築100年の家に人気があります。長年こつこつと手を入れてきて
いる「実績のある家」だからです。「手入れされている家だから安
心」というところに繋がっているのでしょう。そのために大切な要
素は、普段メンテナンスしやすい素材かどうか?です。例えば海外
では内壁はペンキを塗るのが一般的です。壁が汚れたり、気分転換
をする時には上からペンキを塗って模様替したりします。床のフロ
ーリングも無垢のものが多く、表面が傷だらけになれば、サンダー
という機械で表面を削って、新品のように仕上げたりできます。
表面が削れない、複合フローリングなどの場合は、全面張替えたり、
フローリングの上からもう一枚フローリングを張り合わせるなどを
する必要がありますので、将来のメンテナンスコストは思っている
以上にかかる可能性を覚えておくと良いでしょう。
今回は基本的な話をしましたが、次回は「長持ちさせる家」につい
てで、ぜひ知っておいて欲しい視点や知恵などをお話ししましょう。
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