小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「社員を恫喝する経営者が見失っているのではないかと思うこと」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。

小笠原 隆夫

オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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社員を恫喝する経営者が見失っているのではないかと思うこと

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2016-05-10 08:00

 少し前のことになりますが、大手エステサロンの社長が、未払い残業代の支給を求めて組合活動をしていることを理由に、ある従業員に対してパワーハラスメントをしたとして問題にされました。

 当初、会社側は事実確認ができないと言っていましたが、「会社を潰してもいいのか」「法律どおりにやったらサービス業は上昇しない」などと言っている録音テープなども公表されてしまいました。

 

 このテープの内容を聞いた時の私の正直な感想は、中小企業の現場では比較的よく聞くたぐいの発言だということでした。会社によって程度の差はありますが、「残業代なんか払ったら会社がつぶれる」「有給なんかで休ませる余裕はない」などという社長は、正直言って今でもたくさんいます。

 

 実際の厳しい経営状況を見ていると、余裕がないのは確かですし、そう言いたくなる気持ちも理解できなくはありません。

 また個々の社員に目を向ければ、働かない社員、文句ばかりの社員、仕事ができない社員、コスト高の社員などは確かにいますから、個別の事象に対しては、社員にとって厳しい対応を取らざるを得ないこともあります。

 そうは言っても残業代や休憩時間、休日休暇といったものは法律で明確に定められていることですし、法律はあくまでも法律なので、やはり社会的責任として守る努力をすべきことです。

 

 この問題で言われていたのは、経営者が社員の一人に対して、長時間にわたって恫喝したということですが、そんな経営者を見て感じるのは、「ではあなたはなぜ経営者になったのか」ということです。

 

 会社というのは事業を行うための器であり、手っ取り早く言えばお金儲けをするための道具です。社会貢献などの意義もいわれますが、それが第一目的ならば非営利の慈善事業でやれば良い訳で、会社はそういうものではありません。

 

 経営者が会社を興すのは、いろいろな思いがあると思いますが、資本主義的にいえば「自分自身のお金儲けのため」であり、そのためにリスクを負って投資をし、その会社を通じて事業活動をしている訳です。

 社員は、経営者の事業を手助けして、それに見合う報酬を得ているということで、経営者にとっては「自分のお金儲け」の片棒を担いでくれる有難い人たちであるはずです。

 

 経営者は市場環境、法律などのルール、その他の制約も踏まえた上で、自分の意志でリスクを取って会社経営をしているはずです。それなのに、そのリスクの一端を社員に負わせるような恫喝をすること自体、私は他責であると感じ、ご自身が「なぜ経営者になったのか」というそもそもの部分を見失っているように感じてしまいました。

 

 経営者と社員でこんなことを言い合っていては元も子もありませんから、多くの会社ではお互いの立場を尊重しあい、現状を良くしていくことを考えながら、一緒に事業を進めていくのだと思います。

 会社と従業員の関係は、単なる労務提供とそれに見合う賃金の授受だけでなく、人間関係、仲間意識、社会とのつながり、その他数多くの要素がからんでいます。それらがかみ合うことで、顧客満足を生み、事業が発展していくはずです。

 

 特にサービス業の場合は、一人ひとりの心の余裕がなければ良いサービスはできません。社員にリスク分担を求めるばかりでは、本当の意味で事業が行き詰まってしまわないかと心配してしまいます。

 

 

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