日本国民の電力に対する関心は非常に強く、
多くの方が日々の電力消費を控えるためのさまざまな工夫をされていると思います。
また、自分で使う電気は自分で作るという意識から、
自宅に太陽光発電設備を設置し、すでに自宅で発電を始めたという方や、
これから太陽光発電設備を設置しようと思っている方も多いようです。
国も、エネルギー資源の確保のため、太陽光発電設備の設置について、さまざまなサポートをしています。
たとえば、所定の要件を満たす太陽光発電設備の設置については、
補助金の交付を受けることができます。
また、平成24年7月からは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度も始まりました。
電力の買取価格があらかじめ定められているため、
従来の制度よりも、太陽光発電設備への投資回収の見込みが立てやすくなり、
今後はより太陽光発電設備を新たに設置しようという方が増えていくといわれています。
そして、この設備投資に対しては、税制上の特例規定も設けられています。
太陽光発電設備の設置に係る費用(補助金控除後の金額)が30万円超である場合には、
その設置費用と国が定める標準費用の額との
いずれか少ない金額(300万円を限度)の10%の税額控除を受けることが可能です。
(ただし、適用にあたっては、その年の合計所得金額が3,000万円以下であることや、
住宅の床面積が50㎡以上であることなど、その他細かな要件が設けられています。)
例えば、補助金控除後の自己負担額が120万円、
国が定める標準的な費用の額が160万円という場合には、
12万円(=120万円×10%)の減税を受けることができる計算です。
ところで、余剰電力を電力会社に売却した場合、その売却代金は課税対象所得に該当します。
所得税法上は、「雑所得」として課税され、
その売却代金から太陽光発電設備の減価償却費を控除して計算されます。
この減価償却費の計算が、少々複雑です。
売却した電力に対応する部分だけが、業務用資産として認められるからです。
例えば、太陽光発電設備の取得価額が120万円、
総発電量が5,000kw、売却電力が1,000キロワット、
償却方法は定額法(耐用年数17年、償却率0.059)である場合、
減価償却費は120万円×0.059×1,000kw/5,000kw=14,160円です。
もし、売電収入が年額30万円であれば、その年の雑所得の金額は285,840円になり、
雑所得について確定申告が必要です。
給与所得者の場合、副収入が20万円以下であれば
確定申告をしなくていいという取り扱いがありますが、
たとえ雑所得の金額が20万円以下であっても、
設置の年に上記の税額控除の特例を受ける場合には確定申告が必要ですので、
雑所得についても同様に申告をすることになります。
翌年以後、雑所得の金額が20万円以下になるのであれば、確定申告をする必要はありません。
このコラムの執筆専門家
- 大黒たかのり
- (東京都 / 税理士)
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