こんにちは、東京港区の公認会計士 森 滋昭です。
前回、政府税調の臨時復興増税の案について、
・増税の基本パターンと、
・所得税の増税内容
についてみました。
今日は、続きとして、
・法人税の増税内容と、
・今後の予定など
を見ていきます。
1.法人税
法人税は、
・23年度税制改正の先送り部分の減税と
・課税ベースの拡大
を実現した上で、
・3年間は、10%の付加税と課すこと
とされています。
つまり、法人税の税率は、平成23年度税制改正で先送りされた、「実効税率5%の引下げ」を実現するために、現状の30%から4.5%引き下げられ、25.5%となります。
ただし、3年間に限っては、2.55%=25.5%×10% の付加税が上乗せされます
具体的な法人税率の推移は、このようになります。
・平成23年度:30% (現状)
・平成24年度:28.05% (=25.5%+2.55%)
・平成25年度:28.05%
・平成26年度:28.05%
・平成27年度:25.5%
ただし、法人税については、税率引き下げだけではなく、
・減価償却資産の償却率の見直し
・欠損金控除の控除限度と繰越期間の見直し
・貸倒引当金の見直し
・寄付金の損金不算入制度
・試験研究に対する特別控除
など、各種控除などが縮小されます。
個々の企業によって影響は違いますが、減税を相殺する課税ベースの拡大が図られます。
2.今後の予定など
これまでの議論で、臨時復興増税の財源として挙げられていた
・消費税の増税や、
・固定資産税の増税
はないようです。
しかし、政府税制調査会の案に対して、早くも民主党内や、民主党の税制調査会長である藤井氏からは、
・増税反対論
・政府税調をチェックするのが、党税調の役目
・増税ならば、あわせて議員定数の削減をする
・増税のスタートを、平成25年からにする
・増税期間を10年より延長する
・相続税の増税
といった意見が出ています。
今回の政府税調の案では、税制改正で先送りした相続税の増税には触れられていませんが、党税調の藤井氏は相続税の増税も主張しています。
そうすると、結局、臨時復興増税は、平成23年度税制改正の先送り案に、単に所得税と法人税の付加税を加えただけのようになってきますね。
なお、今後のスケジュールは、次のようになっています。
・26日ごろ:党税調の案を決定
・9月中:政府・民主党の案を決定
・10月:与野党協議
・10月末:臨時国会=3次補正と税制改正を提出
ただし、藤井氏らの意見などをみると、まだ増税内容やスケジュールは変わる可能性がありそうです。
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前回の記事
【臨時復興増税 政府税調案 1】 増税の方向性と所得税
先送りされた税制改正案について
【今後どうなる? 税制改正】 法人税・所得税 編 -
【今後どうなる? 税制改正】 大幅改正案 相続税・贈与税 編 -
【臨時復興増税 (仮)整理】 党税調の前に
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このコラムの執筆専門家
- 森 滋昭
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- 森公認会計士事務所 公認会計士・税理士
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監査・税務・ビジネス、”3つのキャリア”で、約20年。 その間、いつも「決算書の数字の奥にあるものをみる!」感覚を研ぎ澄ましてきました。 だから・・・ベンチャーから上場企業まで、あなたの会社の、一番の社外サポーターに!
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