震災の後、在宅勤務への関心が急激に高まっているようで、それをテーマにしたセミナーなどもたくさん開催されているようです。実際に在宅で仕事をされている方も、ずいぶん増えているのではないでしょうか。
私は十数年前に、その頃在籍していた会社で試行的に在宅勤務制度を導入したことがあるのですが、実際にやって見るとメリットもあるがデメリットもあるという感じで、結局制度を利用していた本人が「やっぱり普通に出勤して働きます」ということになり、やはりなかなか難しいなあという感想を持った経験があります。
今はIT技術の進歩も目覚ましく、その当時課題としていたことも、かなりの部分は解決できるようになりつつあり、その気になりさえすれば導入しやすい環境になったと思います。
ただ、IT環境的にはそうなのですが、やはり働くのは人間ですから、仕事に求めるものや仕事のやりがい、価値観は人それぞれいろいろな物があります。
在宅勤務になることを「満員電車から解放されてラッキー」と思う人もいれば、「みんなに会えなくなって寂しい」という人もいます。フリーアドレスの職場を「合理的」と思う人もいれば、「居場所がない」と感じる人もいます。一人で作業することを「集中できる」「わずらわしさがない」という人もいれば、「活気が出ない」「相談できず不安」「サボってしまいそう」という人もいるでしょう。
場所に縛られない働き方をするには、制度や仕組みの整備とともに、働く人たちにその目的やメリットを理解、納得してもらい、不安をできるだけ取り除き、前向きな気持ちになれるように仕向けることも重要です。やはり働き方は大きく変わるので、心の準備が必要です。もちろんこれを仕組みや運用の中でサポートすることもできるでしょう。また、実際にやりながら試行錯誤する覚悟も必要だと思います。
現在私も、在宅勤務やテレワークなど、場所に縛られずに働く事ができるための人事施策や仕組みづくりを、クラウドコンピューティングの中小企業向け導入コンサルティングをされている会社と共同で行っていく話を進めています。
ICTシステム、クラウドサービス導入などの環境作りと、人事労務管理の整備、運用が両立してはじめて、本当の意味での「場所に縛られない働き方」が可能になるのではないかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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