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「戻りたい」と思わせる組織がやっていたこと

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え

 2014年のことですが、当時メジャーリーグのニューヨークヤンキースに在籍していた黒田博樹投手が、年20億円とも言われるオファーを蹴って、その5分の1程度と言われる条件で古巣の広島カープに復帰しました。

 まだメジャーでやれる余力を十分に残していたにもかかわらず、さらに条件が下がることまで受け入れた決断に、当時はいろいろなメディアで「男気がある」などと賞賛されていました。


 黒田投手の行動のすばらしさはその通りのこととして、その時私が注目していたのは、かつて在籍していた選手をそこまで気持ちにさせる、広島カープという球団組織でした。


 資金は決して潤沢とは言えない地方球団ですが、ドラフトの注目選手が第一志望だったと言っていたり、他にも出戻りの選手がいたりします。無名選手が活躍するという面では、他球団より目立っている感じがします。


 広島カープに、なぜそれほど人を引き付けるだけの魅力があるのか、私にはメディアを通じての断片的な情報しかありませんが、その一端として見えるものがありました。それは「相手への誠意」ということです。


 例えば、カープが第一志望といったドラフト指名選手は、「自分がたいしたことない頃からずっと見てくれていた」というコメントをしていましたし、黒田投手にも「もし戻ってもらえるなら」ということで、毎年オファーを出し続けていたそうです。

 「相手に対しての誠意を、態度を変えずに見せ続けていた」ということです。


 私が人事の仕事に関わる中で、人の採用、人材確保はどの会社でも大きなテーマです。今は思うように人が採れない時代ですが、そんな状況にもかかわらず、人がどんどん辞めていく会社、社員を敵に回す会社、その他社員が居つかないような会社がたくさんあります。


 そういう会社を見ていて感じるのは、この「相手への誠意」とは正反対の行為です。

 必要以上に駆け引きをしていたり、実態よりも良く見せようと伝える情報をゆがめていたり、会社の都合だけで一方的な主張をしたり、同じく自分たちの都合で相手を持ち上げたり見下したりということをします。時と場合によって、相手への振る舞い方が違うので、相手から本音の部分で信用されません。


 「社員の出戻り」ということでは、外資系企業ではわりと一般的ですが、最近は日本の企業でも、辞めた社員の出戻りを認め、実際に元の会社に出戻る社員も増えています。

 出戻りが成立するには、お互いの信頼関係が前提になります。そこには当然、その人が辞めたときの経緯や在籍中の仕事ぶりもありますし、会社が社員に対して行ってきた行動、言動、対応という要素もあります。


 会社側の視点であれば、「その人の出戻りを認めても良いか」という判断はありますが、それ以上に社員だった相手側が、「もう一度この会社で働きたい」と思わなければ、出戻りは成り立ちません。

 そして、「この会社で働きたい」は、すでに辞めた人から今在籍している人まで、すべての人からそう思われるようでなければ、そもそも良い人材を採用することも、社員が定着することも見込めません。これは決して、給与などの金銭的な問題ではありません。


 「戻りたい」と思わせる組織を作るためには、「相手へのぶれない誠意」という基本的なことが、実は一番重要なことではないでしょうか。



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