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「計画」に力を入れ過ぎるマイナス

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 最近いくつかの会社で、「計画作りの作業が大変だ」という話を聞きました。9月が半期の区切りという会社も多いですが、上期状況による年度計画の見直し、下期向けの活動計画といったことを指して言っているようです。


 年度初めや決算期、その他区切りの時期は、様々な計画作りや見直しをする時期です。その中身は、事業計画、予算計画、生産計画、人員計画、教育計画、その他いろいろあるでしょう。

 私が話を聞く限りでは、どちらかといえば大手企業や社歴の長い老舗企業の方が、計画作りを早い時期から始め、時間をかけて行う傾向があるようです。


 そうやって計画作りをすること自体は、事業を進めていく上で必要なことです。

 “計画的”の反対語は、“無計画”、“突発的”、“場当たり的”などとなりますから、あまり良いイメージの言葉ではありません。計画的なことを、あえて悪く言われることはあまりないでしょう。


 ただ、今のビジネス環境から考えると、「計画作りに力を入れ過ぎていないか」と感じる場面を多々見かけます。時間をかけて緻密に計画をすればするほど、現場の環境変化の速さについて行けなくなっているように思うのです。


 一見よさそうに見える“計画的”ということも、力を入れ過ぎることによるマイナスがあります。

 まず、かなりの時間をかけ、大変な思いをして作った計画であればあるほど、それを変えたくないという心理が働きます。

 「また大変な思いをしたくない」とか「あれだけ時間をかけたのだから」となるのは仕方ないと思いますが、すでに状況が変わっているのに、もともと決めたことを守り通そうとしているのは、目標達成に向けては確実にマイナスです。


 そもそも計画というものは、どうなるかわからない将来に向けてのものなので、必ず予想や推測が入ります。これには「過去実績」や「前年対比」といった情報を使うことも多いでしょう。

 ただ、こういうことばかりやり続けていると、まず数字ありきの本末転倒な計画になりがちです。過去からの経緯や数字の意味を考えなくなり、「計画」は形骸化したものになっていきます。

 計画することに労力を使いすぎては、環境変化に対応しづらくなり、最も大事な実行フェーズでの余力がなくなってしまいます


 カーナビに例えれば、出発前に多くの情報を集めて最適ルートを設定したと言って、それを守ることに固執しているような状態です。

 ただ、最近のカーナビには、渋滞情報などをリアルタイムで監視しながら、最適ルートが変わると新しいルート案内に変更するような機能もついています。動き始めた後でも常に見直しを続けているということで、“計画”と“実行”の理想的な関係が保てます。


 プロスキーヤーの佐々木明氏が、あるウェブ上に書いていた記事の中に、「無計画とはゴールの方角だけ決めて、そこまでの道をその都度決めて進んで行くこと」という言葉がありました。

 今の時代にふさわしい「計画」とは、実はこの「無計画」に近いのではないでしょうか。



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