皆さんの会社に、「素直で、現状を肯定的にとらえ、不平不満を言わず、多少つらいと思っても黙々と仕事をこなす社員」がいたとしたら、きっと上司や周りからの信頼も厚く、高い評価がされるのではないでしょうか。こういう社員は理想的な人材だととらえる人もいるでしょう。
しかし、こういう人を別の観点から見たときに、「問題意識がなく、改善提案ができない社員」という可能性があるかもしれません。問題意識を持っていて、本来あるべき姿を描いていた上で、現状を肯定的にとらえて不平不満を言わないのであれば、これは非常に良いことですが、もしも問題意識を持っていないとすれば、単に周りにとって扱いやすい作業者ということになってしまいます。言われたことはやるけど、それ以外のことは気がつかないとか、間違ったやり方、非効率なやり方を続けていたりします。
逆に、社内には「不平不満が多くて、扱いづらい社員」がいるかもしれません。しかしこれも別の角度から見たとき、本人の行動が伴い、他人への伝え方を良く考えた上での不平不満であれば、これは「問題意識を持っている」という見方ができます。不満というのは、“本来あるべき姿”とのギャップがあるから生まれるものであり、このギャップこそが「問題」にあたるので、それを自分なりに考えているということができるからです。
この「問題意識」に関して言えば、“本来あるべき姿”を意識しているか、していないかを聞くことで、その有無を確認できます。ちょっと面談でもして話を聞けば、すぐに何となくはわかるのではないかと思います。
こういうことだけに限らず、“上司や周りにとって扱いやすい人”というのは、当然裏の面も持っています。例えば、自分の意見が希薄、積極性が足りない、何も考えていない、などと言う事もあり得ます。
自分たちにとって扱いやすい人材だったりするとついつい見逃しがちですが、こんな逆の面からの見え方も想定し、よくコミュニケーションを取っておくことが必要だと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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