「いらないと思うビジネスマナー」にも意味があるとわかってもらうには
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あるウェブサイトで、『新人が「必要ないのでは」と思うビジネスマナーTOP10』というランキングがありました。入社3年目までの20代会社員の男女各100人ずつに、アンケート調査を実施した結果とのことです。
似たようなランキングはいくつもあるようですが、私が見た内容は以下のようなものでした。
1位 始業5分前にデスクについている
2位 電話のベルは2回コール以内までに出る
3位 訪問先で出されたお茶は、相手が飲むまで口を付けない
4位 客を見送るときはエレベーターが閉まるまでお辞儀をする
5位 勤怠などの連絡は必ず電話で行う(メールやLINEではしない)
6位 報告・連絡・相談をこまめに行う
7位 社内でも正しい敬語を使う
8位 部屋に入るときのノックは3回(4回)
8位(同率)BCCで複数の人にメールする場合は「BCCにて失礼します」と断る
10位 社外の人にメールする場合は「メールで失礼します」と断る
参考:違和感のあるビジネスマナーはない 49%
記事の解説として、『「違和感はない」が49%で、多くの新人が素直にビジネスマナーを守っているのが実状のようだが、「内心では納得がいっていない」という人もやはり少なからずいる様子だ』とのことでした。
また、この記事に対するコメントには、「こんなことを言う人は雇いたくない」などという否定的意見から、「理不尽なビジネスマナーは確かにある」などと肯定する意見までありましたが、先輩世代の社会人からは「意味が無いように思えるビジネスマナーにも意味がある」「それを守ることも仕事の一環である」という意見が多かったようです。
このランキングを見ていて、知人のベテランマナー講師が言っていたことをあらためて思い出しました。それは、「どんなマナーや礼儀でももともとの意味があり、それをきちんと知れば行動につながる」という話です。
例えば、昔から言われるマナーで「畳の縁は踏んではいけない」というものがありますが、その理由には、「縁は畳の中では一番弱い部分なので傷めないように」という物理的なことや、「床下から来た刺客は畳の縁を狙って刃物を突く」など自分の命を守るためということがあるそうです。今は床下に刺客がいることはないでしょうが、畳を傷めないという理由は理解することができます。
また、このランキングの1位に挙がっている「始業5分前準備」も、試合開始後にウォーミングアップするスポーツ選手や本番後に楽器を準備する演奏者がいないことと、始業時間が試合や本番の開始と同じだと理解すれば、いらないマナーとは言えなくなるでしょう。ただし、準備も勤務時間の一部と考えれば、あまり強制することも好ましくはありません。このあたりは、時代の変化に伴う意識の変化も考慮しなければならないでしょう。
他に挙がっているビジネスマナーも、基本的に「相手に不快感を与えない」「相手への気遣いやこころ配り」という点では共通していると思います。
ビジネスマナーは、自分が常識と思っていることを相手が理解していないと、少しイラッとする部分があります。一方で、そのマナーがなぜ必要かという理由は、あまりはっきりとは知らなかったり、説明されていなかったりすることも多いのではないでしょうか。
また、基本と言われていることはあるものの、その取り組み方は会社や個人によって結構差があり、必要か不要かというとらえ方にも違いが現れます。
ビジネスマナーは、それを通じてコミュニケーションや人間関係を円滑にすることで、業務効率や収益の向上に必要なものとして考え出されたもので、それぞれ何かしらの意味があります。もちろん時代に合わせて変化していくことも必要です。
まずは「こんなことも知らないのか」と自分の基準で決めつけず、しっかり理由を教えることを心がければ、納得感も少しは高まるように思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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