具体的な解雇事由 - リストラ・不当解雇 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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対象:労働問題・仕事の法律

村田 英幸
(弁護士)
田中 圭吾
(行政書士)

閲覧数順 2016年12月09日更新

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具体的な解雇事由

 

○労働基準法20条1項ただし書の「労働者の責めに帰すべき事由」

行政通達は、以下を掲げている。

・きわめて軽微なものを除き、事業場内における窃取、横領、傷害など刑法犯に該当するもの

・賭博など職場規律を乱し、他の労働者に悪影響をおよぼす行為

・雇い入れの際の重大な経歴詐称

・他の事業場への転職

・2週間以上の正当な理由なき無断欠勤

・出勤不良が改まらない場合

 

○労働者の人的事由による解雇

・労働者の傷病、健康状態による労働能力の喪失

・勤務能力、成績、適格性の欠如や不足のため(民法上は不完全履行)、労働契約の継続を期待し難いほど重大な場合

なお、管理職、高度専門職について、一般の従業員の場合よりも解雇回避措置の程度が緩和され、事前指導、配置転換、降格などにより、解雇回避措置を取ればよいとする裁判例がある。

地位・職種を特定されて即戦力・専門職として中途採用された人材について、解雇回避措置を尽くすことは、それほど要求されないとする裁判例、見解もある。

・職務懈怠(欠勤、遅刻、早退、職場離脱、勤務態度不良など)

これは普通解雇事由であるが、度重なり、企業秩序違反といえる場合には、懲戒解雇事由にも該当する。

 

・以下は大きくわけて広義の非違行為である。広義の非違行為の場合、解雇回避措置は、せいぜい是正警告であって、それほど尽くす必要がないとする見解がある。

・経歴詐称

履歴書や採用面接に際して、学歴、職歴、賞罰、犯罪歴等を偽るか、あるいは真実の経歴を秘匿することをいう。使用者が真実を知っていれば労働者を採用しなかったであろうという因果関係と、重要な事実に関する事項がある場合に懲戒解雇は有効と解される。

・職場での非違行為、不正行為

軽微なものを除き、労働者の窃盗、詐欺、業務上横領、背任、取引先への私的なリベート・金品の要求・受領、金銭的不正行為に対する懲戒解雇は、裁判例はおおむね有効とする。

上司・同僚などへの暴行・暴言に関する懲戒解雇を有効とした裁判例がある。ただし、回数・程度が重大ではない場合には、懲戒解雇が無効とされるであろう。

また、暴行を伴わない、暴言だけでは、懲戒解雇は難しいであろう。

 

・服務規律違反、業務命令違反、企業秩序違反

使用者の時間外労働・休日労働の命令、年次有給休暇の時季指定権に従わない場合など。

使用者の所持品検査を拒否したことを理由とした懲戒解雇を有効とした判例がある(最高裁昭和43・8・2)。

 

・違法争議行為

 

・私生活上(職場外で)の非行

・社内不倫

原則として懲戒解雇事由に該当しないが、企業秩序を乱す場合には懲戒解雇が有効とした裁判例と、無効とした裁判例がある。

・飲酒運転

職業的運転手については、おおむね懲戒解雇を有効とした裁判例が多い。

それ以外の職種の労働者について、近時、懲戒解雇をする傾向があるが、裁判例はおおむね重きに過ぎるとして懲戒解雇を無効とする。

 

・兼職禁止

別会社に長時間勤務して労務の提供に支障をきたし、職務専念義務に違反する場合には、懲戒解雇は有効とした裁判例がある。

競業会社の取締役・従業員になるなど、職務専念義務や競業避止義務に違反する場合には、懲戒解雇を有効とした裁判例がある。

 

・内部告発

公益通報者保護法の要件を満たしている場合には、懲戒解雇も普通解雇もできない。

同法の要件を満たしていない場合にも、懲戒解雇の可否については、否定説が有力である。

 

○解雇回避措置

・使用者による教育的措置、注意、指導、是正警告

・能力向上の機会の付与、研修

・配置転換、職種変更、出向、休職

・出勤停止命令、自宅待機命令、謹慎命令

 

○懲戒解雇の要件事実

1、就業規則上の懲戒事由の定め

2、懲戒事由に該当する具体的事実

3、懲戒解雇の意思表示

 

○懲戒解雇と普通解雇との本質的な違いは、退職金の支給の有無ではなく、使用者の懲戒権の行使としての解雇である点にある。

○労働基準法20条1項ただし書では、解雇予告せずに、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて」即時解雇できる場合を認めている。

労働基準法20条1項ただし書の即時解雇は、懲戒解雇と重なる部分が多いであろうが、普通解雇の場合もあると解されている。





































 

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