労働委員会に関する労働組合法の規定 - 労働問題・仕事の法律全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
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労働委員会に関する労働組合法の規定

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労働委員会に関する労働組合法の規定
  

   第4章 労働委員会
    第1節 設置、任務及び所掌事務並びに組織等
(労働委員会)
 労働委員会は、使用者を代表する者(使用者委員)、労働者を代表する者(労働者委員)及び公益を代表する者(公益委員)各同数をもって組織する(労働組合法19条1項)。
 労働委員会は、中央労働委員会及び都道府県労働委員会とする(労働組合法19条2項)。

(中央労働委員会)
 国家行政組織法第3条第2項 の規定に基づいて、厚生労働大臣の所轄の下に、中央労働委員会を置く(労働組合法19条の2第1項)。
 中央労働委員会は、労働者が団結することを擁護し、及び労働関係の公正な調整を図ることを任務とする(労働組合法19条の2第2項)。
 中央労働委員会は、前項の任務を達成するため、第5条、第11条、第18条及び第26条の規定による事務、不当労働行為事件の審査等(第7条、次節及び第3節の規定による事件の処理をいう。)に関する事務、労働争議のあっせん、調停及び仲裁に関する事務並びに労働関係調整法第35条の2 及び第35条の3 の規定による事務その他法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき中央労働委員会に属させられた事務をつかさどる(労働組合法19条の2第3項)。

(中央労働委員会の委員の任命等)
 中央労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各15人をもって組織する(労働組合法19条の3第1項)。
・使用者委員は使用者団体の推薦(使用者委員のうち4人については、特定独立行政法人(独立行政法人通則法第2条第2項 に規定する特定独立行政法人をいう。以下この項、次条第2項第2号及び第19条の10第1項において同じ。)の推薦)に基づいて、
・労働者委員は労働組合の推薦(労働者委員のうち4人については、特定独立行政法人の労働関係に関する法律第2条第2号 に規定する職員(「特定独立行政法人職員」)が結成し、又は加入する労働組合の推薦)に基づいて、
・公益委員は厚生労働大臣が使用者委員及び労働者委員の同意を得て作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、
内閣総理大臣が任命する(労働組合法19条の3第2項)。
 公益委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、厚生労働大臣が使用者委員及び労働者委員の同意を得て作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから、公益委員を任命することができる[労働組合法19条の3第3項]。この場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を求めなければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその公益委員を罷免しなければならない(同条4項)。
 公益委員の任命については、そのうち7人以上が同一の政党に属することとなってはならない(同条5項)。
 中央労働委員会の委員(第19条の4から第19条の9までにおいて「委員」という。)は、非常勤とする。ただし、公益委員のうち2人以内は、常勤とすることができる(同条6項)。

(委員の欠格条項)
 次の各号のいずれかに該当する者は、公益委員となることができない(労働組合法19条の4第2項)。
一  国会・地方公共団体の議会の議員
二  特定独立行政法人の役員、特定独立行政法人職員・特定独立行政法人職員が結成し加入する労働組合の組合員・役員

(委員の任期等)
 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする(労働組合法19条の5第1項)。委員は、再任されることができる(同条2項)。

(公益委員の服務)
 常勤の公益委員は、在任中、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない(労働組合法19条の6第1項)。
一  政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二  内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
 非常勤の公益委員は、在任中、前項第1号に該当する行為をしてはならない(同条2項)。

(中央労働委員会の会長)
 中央労働委員会に会長を置く(労働組合法19条の9第1項)。
 会長は、委員が公益委員のうちから選挙され(同条2項)、中央労働委員会の会務を総理し、中央労働委員会を代表する(同条3項)。

(中央労働委員会の事務局)
 中央労働委員会にその事務を整理させるために事務局を置き、事務局に会長の同意を得て厚生労働大臣が任命する事務局長及び必要な職員を置く(労働組合法19条の11第1項)。
 事務局に、地方における事務を分掌させるため、地方事務所を置き(同条2項)、地方事務所の位置、名称及び管轄区域は、政令で定める(同条3項)。

(都道府県労働委員会)
 都道府県知事の所轄の下に、都道府県労働委員会を置く(労働組合法19条の12第1項)。
 都道府県労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各13人、各11人、各9人、各7人、各5人のうち政令で定める数のものをもって組織する。ただし、条例で定めるところにより、当該政令で定める数に使用者委員、労働者委員及び公益委員各2人を加えた数のものをもって組織することができる(同条2項)。
 使用者委員は使用者団体の推薦に基づいて、労働者委員は労働組合の推薦に基づいて、公益委員は使用者委員及び労働者委員の同意を得て、都道府県知事が任命する(同条3項)。
 公益委員の任命については、都道府県労働委員会における別表の上欄に掲げる公益委員の数(第2項ただし書の規定により公益委員の数を同項の政令で定める数に2人を加えた数とする都道府県労働委員会にあっては当該2人を加えた数)に応じ、それぞれ同表の下欄に定める数以上の公益委員が同一の政党に属することとなってはならない(同条4項)。
 労働組合法19条の12第6項により、労働組合法第19条の3第6項、第19条の4第1項、第19条の5、第19条の7第1項前段、第2項及び第3項、第19条の8、第19条の9並びに前条第1項の規定は、都道府県労働委員会について準用されている。この場合において、第19条の3第6項ただし書中「、常勤」とあるのは「、条例で定めるところにより、常勤」と、第19条の7第2項中「内閣総理大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「使用者委員及び労働者委員にあっては中央労働委員会の同意を得て、公益委員にあっては両議院」とあるのは「都道府県労働委員会」と、同条第3項中「内閣総理大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「使用者委員又は労働者委員」とあるのは「都道府県労働委員会の委員」と、前条第1項中「厚生労働大臣」とあるのは「都道府県知事」と読み替えるものとする。
(第19条の12第6項で準用される主な条文の読み替え)
 都道府県労働委員会の委員は、非常勤とする。ただし、公益委員のうち2人以内は、条例で定めるところにより、常勤とすることができる(準用される労働組合法19条の3第6項)。
 都道府県労働委員会にその事務を整理させるために事務局を置き、事務局に会長の同意を得て都道府県知事が任命する事務局長及び必要な職員を置く(準用される労働組合法19条の11第1項)。


(労働委員会の権限)
労働委員会は、
・第5条(労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第2条(労働組合の要件)及び第5条第2項(労働組合規約)に適合することの証明)、
・第11条(登記手続の前提として、法人である労働組合に対する労働組合法の規定に適合する旨の労働委員会の証明)
・第18条の規定によるもの(労働協約の地域的の一般的拘束力について、労働委員会の決議により、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第二項の規定により不適当な条項の修正を含む。)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。)
・不当労働行為事件の審査等(労働組合法27条以下)、
・労働争議のあっせん、調停及び仲裁
をする権限を有する(労働組合法20条)。

(会議)
 労働委員会は、公益上必要があると認めたときは、その会議を公開することができる(労働組合法21条1項)。
 労働委員会は、使用者委員、労働者委員及び公益委員各1人以上が出席しなければ、会議を開き、議決することができない(労働組合法21条3項)。
 議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる(労働組合法21条4項)。

(強制権限)
 労働委員会は、その事務を行うために必要があると認めたときは、使用者又はその団体、労働組合その他の関係者に対して、出頭、報告の提出・必要な帳簿書類の提出を求め、又は委員・労働委員会の職員(以下「職員」という。)に関係工場事業場に臨検し、業務の状況・帳簿書類その他の物件を検査させることができる(労働組合法22条1項)。
労働委員会の強制権限による報告義務等(労働組合法第22条)に違反して報告をせず、虚偽の報告をし、帳簿書類の提出をせず、又は同条の規定に違反して出頭をせず、同条の規定による検査を拒み、妨げ、忌避した者は、30万円以下の罰金に処する(労働組合法30条)。
法人の代表者又は法人・個人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人・個人の業務に関して労働組合法第30条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人・個人に対しても同条の刑を科する(労働組合法31条)。

(秘密を守る義務)
 労働委員会の委員・委員であった者又は職員・職員であった者は、その職務に関して知得した秘密を漏らしてはならない(労働組合法23条)。
守秘義務(労働組合法第23条)に違反した者は、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(労働組合法29条)。

(公益委員のみで行う権限)
・第5条及び第11条の規定による事件の処理
・不当労働行為事件の審査等(「審査等」)
・労働関係調整法第42条 の規定による事件の処理
には、労働委員会の公益委員のみが参与する。
ただし、使用者委員及び労働者委員は、第27条第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により調査(公益委員の求めがあった場合に限る。)及び審問を行う手続並びに第27条の14第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により和解を勧める手続に参与し、又は第27条の7第4項及び第27条の12第2項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による行為をすることができる(労働組合法24条1項)。
 中央労働委員会は、常勤の公益委員に、中央労働委員会に係属している事件に関するもののほか、特定独立行政法人職員の労働関係の状況その他中央労働委員会の事務を処理するために必要と認める事項の調査を行わせることができる(同条2項)。

(合議体等)
 中央労働委員会は、会長が指名する公益委員5人をもって構成する合議体で、審査等を行う(労働組合法24条の2第1項)。
 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合においては、公益委員の全員をもって構成する合議体で、審査等を行う(同条2項)。
一  前項の合議体が、法令の解釈適用について、その意見が前に中央労働委員会のした第5条第1項・第11条第1項又は第27条の12第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による処分に反すると認めた場合
二  前項の合議体を構成する者の意見が分かれたため、その合議体としての意見が定まらない場合
三  前項の合議体が、公益委員の全員をもって構成する合議体で審査等を行うことを相当と認めた場合
四  第27条の10第3項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による異議の申立てを審理する場合
 都道府県労働委員会は、公益委員の全員をもって構成する合議体で、審査等を行う。ただし、条例で定めるところにより、会長が指名する公益委員5人又は7人をもって構成する合議体で、審査等を行うことができる。この場合において、前項(第1号及び第4号を除く。)の規定は、都道府県労働委員会について準用する(労働組合法24条の2第3項)。
 労働委員会は、前三項の規定により審査等を行うときは、1人又は数人の公益委員に審査等の手続(第5条第1項、第11条第1項、第27条の4第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)、第27条の7第1項(当事者・証人に陳述させ、又は提出された物件を留め置く部分を除き、第27条の17の規定により準用する場合を含む。)、第27条の10第2項並びに同条第4項及び第27条の12第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定による処分並びに第27条の20の申立てを除く。次項において同じ。)の全部又は一部を行わせることができる(労働組合法24条の2第4項)。
 中央労働委員会は、公益を代表する地方調整委員に、中央労働委員会が行う審査等の手続のうち、第27条第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により調査及び審問を行う手続並びに第27条の14第1項(第27条の17の規定により準用する場合を含む。)の規定により和解を勧める手続の全部又は一部を行わせることができる。この場合において、使用者を代表する地方調整委員及び労働者を代表する地方調整委員は、これらの手続(調査を行う手続にあっては公益を代表する地方調整委員の求めがあった場合に限る。)に参与することができる(労働組合法24条の2第5項)。

(中央労働委員会の管轄等)
 中央労働委員会は、・・・二以上の都道府県にわたり、又は全国的に重要な問題に係る事件のあっせん、調停、仲裁及び処分について、優先して管轄する(労働組合法25条1項)。
 中央労働委員会は、第5条第1項、第11条第1項及び第27条の12第1項の規定による都道府県労働委員会の処分を取消・承認・変更する完全な権限をもって再審査し、又はその処分に対する再審査の申立てを却下することができる。この再審査は、都道府県労働委員会の処分の当事者のいずれか一方の申立てに基づいて、又は職権で、行うものとする(労働組合法25条2項)。

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