「中小会計要領」~総論~について - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計要領」~総論~について

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 引き続き、「中小会計要領」の総論についての解説です。

 

 「9.本要領の利用上の留意事項」として、1.真実性の原則、2.資本取引と損益取引の区分の原則、3.明瞭性の原則、4.保守主義の原則、5.単一性の原則、6.重要性の原則、があげられています。

 

1.企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するもので なければならない。

2.資本取引と損益取引は明瞭に区別しなければならない。

3.企業会計は、財務諸表によって、利害関係者に対し必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。

4.企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

5.株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

6.企業会計の目的は、企業の財務内容を明らかにし、企業の経営状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにある。このため、重要性の乏しいものについては、本来の会計処理によらないで、他の簡便な方法により処理することも認められる。

 

 この6つの諸原則と、「4.複数ある会計処理方法の取扱い」でいうところの継続性の原則及び「8.記帳の重要性」でいうところの正規の簿記の原則の合計8つの原則は、「企業会計原則」でいうところの一般原則に当たるものです。なお、正確には、「重要性の原則」は企業会計原則注解1であげられている原則であり、この重要性の原則を除いた7つの原則が「企業会計原則」で取り上げられています。

 実際のところこれらの会計上の諸原則と法人税法上の処理の取扱いが異なるケースが見られます。特に、保守主義の原則は会計上は健全な会計処理を求めるため、早めの費用処理を求めるところがあります。そのため、例えば、費用の発生となる原因が起因した段階で費用を認めようとして引当金の計上が求められます。しかし、一方では法人税法は費用については債務が確定した段階で費用の計上を認めています。そのため、一部の引当金を除いて引当金の計上が法人税法上認められていません。

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