- 山本 憲宏
- 山本公認会計士事務所 所長
- 滋賀県
- 公認会計士
対象:会計・経理
引き続き、「中小会計要領」の総論についての解説です。
「2.本要領の利用が想定される会社」として、金融商品取引法の規制の適用対象会社及び会社法上の会計監査人設置会社を除く株式会社を想定している。いわゆる上場会社及び上場準備会社は、公認会計士による監査をもとめられるため、いわゆる会計基準に従った会計処理が求められることになり、「中小会計要領」によらない会計処理となるため、当然「中小会計要領」の適用の対象外の会社となる。また、会計監査人設置会社も当然会計監査人、いわゆる公認会計士による監査を求められるため、会計基準に従った会計処理が求められることになる。そして、会計参与設置会社もこの「中小会計要領」よりは「中小企業の会計に関する指針」(いわゆる「中小企業会計指針」)によった会計処理が求められるため、ある意味この「中小会計要領」の適用範囲外の会社によるものと思われる。
「3.企業会計基準、中小指針の利用」においてこの「中小会計要領」の適用がすることが想定される会社においても企業会計基準や中小企業会計指針によって会計処理を行い計算書類を作成することも妨げないとされています。
「4.複数ある会計処理方法の取扱い」については、企業の実態等に応じて、適切な会計処理の方法を選択することを求められています。
そして、毎期継続して同じ会計処理を適用することが求められています。いわゆる継続性の原則の適用が求められています。そして、会計処理の方法を変更した場合には、変更した旨、その理由及び影響の内容を注記することが求められています。
中小企業がどこまで注記を充実させているかわかりませんが、一般的には会計処理の変更については注記が必要になると思っていてください。
「5.各論で示していない会計処理等の取扱い」において、企業の実態等に応じて企業会計基準、中小指針、法人税法で定める処理のうち会計上適当と認められる処理、もしくは一般に公成妥当と認められる企業会計の慣行の中から選択して適用することが求められます。実際には、中小指針に処理を求め、記載のない場合は会計基準での処理を採用することになるのかもしれません。
「6.国際会計基準との関係」では、「中小会計要領」を安定的に継続利用可能なものとするために、国際会計基準の影響を受けないものとしています。すなわち、中小企業の会計の基準については日本独自の会計スタンダードをこの「中小会計要領」がつくろうとしています。
ただ、上場を意識している企業においては,「中小会計要領」にしたがって会計処理を行う場合、企業会計基準に従った会計処理との差異を把握しておかないと、影響がわからなくなりますね。
「7.本要領の改訂」については、中小企業の会計慣行の状況などを勘案し、必要とされる場合に行われることになります。
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