「中小会計指針」総論~その2~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計指針」総論~その2~

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今日は「中小企業会計指針」の総論の解説の続きです。

 

総論は、「目的」につづき「対象」が記載されています。

 

「対象」は、「4.本指針の適用対象とする株式会社」及び「5.特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社」の項目より構成されています。

 「中小会計指針」が対象とする企業についての記載なので、本文を再記載することで解説に代えさせて頂きます。

 

・本指針の適用対象は、以下を除く株式会社とする。

(1) 金融商品取引法の適用を受ける会社並びにその子会社及び関連会社

(2) 会計監査人を設置する会社及びその子会社

・特例有限会社、合名会社、合資会社又は合同会社についても、本指針に拠ることが推奨される。

 

次に、「本指針の作成に当たっての方針」の記載がありますが、「6.会計基準とその限定的な適用」及び「7.法人税法で定める処理を会計処理として適用できる場合」の項目より構成されています。

 

中小会計指針が想定する中小企業の利害関係者には、投資家ということも一部には想定されています。中小企業とはいっても様々な規模の中小企業が存在します。資金調達手段としては金融機関のみ、もしくは、経営者の個人財産からの資金調達による企業が大半かも知れません。または、将来の上場を目標とし、ベンチャーキャピタルから資金を調達している中小企業もあるのでしょう。もしくは、私募債の発行により資金を調達している中小企業も存在するかも知れません。このような資金調達の多様化を背景に、しかしながら、会計情報の利用者が上場企業に比べ限定される中小企業においては、コスト・ベネフィットの観点からも簡便的な会計処理の方法が求められてきているのです。

なお、会計情報は、配当制限や課税所得の利害調整の役立ちや経営者自らが企業の経営実態を正確に把握し、適切な経営管理に資することの意義も求められています。

「6.会計基準とその限定的な適用」において記載されているように、中小企業の資金調達の多様化を背景に投資家までも想定していますが、大半の中小企業が金融機関のみ、もしくは、経営者の個人財産からの資金調達であることを考えると「中小会計指針」よりもさらに簡便な会計処理が求められてきて、それが「中小会計要領」につながっていくことになったと思います。したがって、資金調達手段が金融機関にとどまっている場合においては「中小会計要領」による会計処理で十分かもしれませんが、資金調達の多様化が生じた段階で「中小会計指針」に従った計算書類の作成に変更していく必要があるのかも知れませんね。

法人税法で定める処理を会計処理として適用できるのは、以下の場合である。

(1) 会計基準がなく、かつ、法人税法で定める処理に拠った結果が、経済実態を

おおむね適正に表していると認められる場合

(2) 会計基準は存在するものの、法人税法で定める処理に拠った場合と重要な差

異がないと見込まれる場合

 

 (1)に記載のあるように、会計情報が経済実態と大幅に異なる場合まで法人税法に定めた処理によることは望ましいとはいえません。その企業の実態にあった会計処理をすべきであると思います。そして、税務上の処理と異なる場合においては、税務調整を行うべきなのでしょう。その結果として、会計上の利益と法人税の利益である所得が大きく異なっても致し方ないことなのでしょう。

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