対象:事業再生と承継・M&A
夫の勤務先の社長が急逝し、奥さんが一時的に社長代行をしていますが、奥さんから「共同経営者になって、社長をやって欲しい」と言われています。生前、社長夫妻に後継者がおらず、ゆくゆくは事業承継して欲しいと言われていましたが、何の手続きもせず、会社の株を買うこともなく急逝されてしまいました。奥さんとしては、早く夫に会社を引き継いでもらい、会社とは関わりたくないと思っているようです。しかし、株を買うにしても、我が家もたいした貯蓄があるわけではないですし、事業承継のために多額の借金をするのも、私としては不安です。夫と社長の奥さんが仲も悪いので、あまりコミュニケーションを取らず、どういった形で進んでいくのか不安です。会社の業績は伸びていますが、個人的に共同経営者になった場合のリスクや事業承継のリスクを知りたいです。
yori1205さん
(
栃木県 / 女性 / 52歳 )
回答:3件
ご回答
1 小規模な会社ですと、結局は株主兼役員の思いのままということがよくあります。
実際に法律上も権限がそこに集中するようになっておりますし。
もし、あなたの夫が会社を承継するならば、過半数以上の株を握り(多数の株主がいる会社は別ですが、ご記載を見る限り、そこまで大規模でないようです)、会社の実権を握れるような対応をしてとなるでしょう。
そうでないと、結局は、役員として好きに使われた挙句会社の経営状態に応じて、解任されたりするリスクがあります。役員ですと、逆に労働者としての保護もないですしね。
2 他に、会社の代表者に借入時の保証人になって欲しいと言われることはしばしばあります。
一応金融庁のガイドラインでは、みだりに代表者を保証人にしないようにとされていますが、実際には今も、代表ならば保証人になれというような話はあるようです。
前記のように会社の実権を握らない状態で保証人になると、それこそ保証人の責任だけ押し付けられる危険があります。これは大きなリスクです。
3 他にも事情に応じて、役員にはそれに応じた責任が発生しますから、どこかの弁護士とじっくり時間をとって確認しておく方がよいでしょう。
評価・お礼

yori1205さん
2023/01/29 08:14漠然とした質問にもかかわらず、回答ありがとうございます。夫とも相談し、どういった形で承継していくか、考えたいと思います。
回答専門家

- 岡田 晃朝
- (兵庫県 / 弁護士)
- あさがお法律事務所
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主として、相続、借金問題、企業トラブルに注力しております。事務所の所在する場所が、住宅地である土地柄、離婚や労働問題などのご相談も多いです。気軽にお電話、ご相談ください。
事業承継における注意点
ご主人の勤務する会社は、株式譲渡制限のあるいわゆる同族会社と思います。共同経営者になって欲しいと依頼されたとのことですが、出資をして経営に参画して欲しいということだと考えられます。
会社の業績が伸びているとのことですので、真剣に検討する価値のあるチャンスかもしれません。
一般的には、事業承継の際には、投資先の会社に対するデュ―デリジェンス、即ち営業面、財務面、法律面のチェックが必須となります。ご主人は、勤務してきた会社のことですので、ある程度はご存じかもしれませんが、上記の観点から改めて損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー表などを含む法人税の確定申告書類、定款類等を精査する必要があります。債務の種類、額には特に注意が必要です。
共同経営の場合、出資の割合、即ち株主として株式の割合は重要です。過半数の株式を取得すれば、取締役の選任、解任をすることができますので、実質的に会社のオーナーとなれます。少なくとも、株主総会の特別決議を阻止できる3分の1超の株式取得は必要です。社長でも代表取締役でもなったとしても、その所有する株式の数によっては、その地位は不安定であることを肝に銘じておきましょう。
ご主人と前社長の奥さんとの共同経営とのことですので、仲が良くないというのは望ましいものではありません。あるいは、全株式取得ということも考えてもいいのかもしれません。
評価・お礼

yori1205さん
2023/01/31 13:00回答ありがとうございます。
会社の同族企業ですが、債務らしい債務はありません。キャッシュフローについては夫はある程度は把握しているものの、やはり妻としては不安です。私自身もゆくゆくは入社する予定なので、夫とよく相談しようと思います。
回答専門家

- 大塚 嘉一
- (弁護士)
- 菊地総合法律事務所 代表弁護士
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全国各地の相続、不動産、同族会社の案件を中心に幅広く、新都心さいたま市を拠点として、永年にわたり多数手懸け解決しています。企業法務や病院・医院、寺社の法務にも精通しております。遺留分減殺請求、株式買取請求、為替デリバティブに実績があります。
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リスクを適切に認識し、関係者とのコミュニケーションが重要です
yori1205様、こんにちは。共同経営者になった場合のリスクや事業承継のリスクについてのご質問ですね。
共同経営、事業承継それぞれのリスクについてお伝えしたうえで、対策案についてもご説明したいと思います。
まず共同経営ですが、様々なリスクが存在します。これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。以下に、共同経営のリスクについていくつかの例をご紹介します。
(1)意見の相違とコミュニケーションの課題
共同経営者間で意見が対立しやすく、コミュニケーションの課題が生じる可能性があります。意思決定が難しくなり、組織の運営が困難になることがあります。
(2)財務的リスク
資金調達や経営資源の配分に関する意見の相違が発生し、財務的な健全性が損なわれる可能性があります。
(3)役割と責任の不明確
共同経営者間で、各々の役割や責任が不明確になり、業務の遂行が困難になる可能性があります。
(4)経営方針の対立
事業戦略や経営方針に対する意見の不一致が生じ、経営の方向性が揺れる可能性があります。
(5)紛争と法的問題
意見の相違や責任の不明確が原因で、共同経営者間で紛争が発生する可能性があります。法的問題が発展する恐れもあります。
上記リスクに対する対策としては、やはりコミュニケーションが重要となります。前社長の奥様と、yori1205様のご主人との仲が悪く、あまりコミュニケーションを取られていないとのことですが、その状況のままですと共同経営を成功させるのは困難と思われます。なんとかお二人のコミュニケーションを改善させる、もしくは信頼できる方に間に入っていただき、うまく意見の調整ができることが望ましいです。
また、意思決定の手順やそれぞれの役割分担、経営に対する責任を明確にすることも、とても重要です。
次に、前経営者が急に亡くなった場合における、事業承継に関するリスクの例をご紹介します。
(1)指導者の欠如による経営混乱
前経営者の急逝により、経営陣に指導者が不在となるため、意思決定の遅れや経営混乱が生じる可能性があります。
(2)顧客・取引先からの信頼喪失
前経営者の急逝により、顧客や取引先からの信頼が揺らぐ可能性があります。これにより取引が停滞するなどの影響が考えられます。
(3)従業員の不安と動揺
従業員は指導者の急逝に不安や動揺を抱える可能性があり、生産性の低下や人材流出が発生する可能性があります。
(4)法的・税務的な問題
前経営者の急逝により、法的な問題や税務的な課題が発生する可能性があります。
(5)経営継続の計画不足
前経営者の急逝に備えた事業継続計画が不足している場合、経営の継続性が脅かされる可能性があります。
上記リスクに対する対策としても、コミュニケーションが大変重要です。顧客や取引先とのコミュニケーションを維持し、前経営者のビジョンや価値観を継承することを丁寧に説明し、信頼を維持する必要があります。
また従業員に対しても、不安を払拭できるよう積極的にコミュニケーションの機会を持ち、事業の継続性と従業員の役割の重要性を強調することが必要です。
なお法的な問題や税務、財務に関する点については、専門的な知見が必要であり、専門家の適切なアドバイスを受けることが重要と考えます。
栃木県には、栃木県事業承継・引継ぎ支援センターという公的相談窓口があります。国が運営する事業で、無料で相談することができます。
手続きの仕方が分からない人や、後継者の立場で支援を必要とする人向けの相談、相続税・贈与税対策等、承継をするにあたって必要なプロセスを担う専門家の紹介も行っています。
まずは不安に思っていることをご相談されることをおすすめいたします。
<栃木県事業承継・引継ぎ支援センター>
https://tochigi-hikitsugi.jp/
また、栃木県では事業承継支援補助金の公募も行っております。補助限度額は100万円で、事業承継の実施に当たって、弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、中小企業診断士等の専門家に委託するために支払われた経費の2分の1以内が補助金の交付対象となっています。こちらの活用もご検討されてはいかがでしょうか。
<栃木県事業承継支援補助金の公募について(栃木県HP)>
https://www.pref.tochigi.lg.jp/f03/2023jigyousyoukei.html
以上となります。
yori1205様のご主人の今後のご活躍を願っております。
評価・お礼

yori1205さん
2023/09/09 07:53回答ありがとうございます。
細かく教えて頂いて助かりました。
回答専門家

- 小松 和弘
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ホットネット株式会社 代表取締役
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